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グローバル・ワークスペース理論

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領域: 医学・脳科学カテゴリー: 理論・概念同義語: GWT, 意識の舞台理論, 全域的作業空間 

要約

脳内の特定部位で処理された情報が「広報(ブロードキャスト)」され、他の広範な領域に共有されることで意識体験が生まれるとする意識の機能的理論である。

詳細解説

学術的・科学的定義

グローバル・ワークスペース理論(Global Workspace Theory: GWT)とは、脳内の無数の無意識的処理のうち、一部の情報が広範なネットワークに共有されることで意識に上るとする理論である。ベルナール・バースが提唱し、後に神経科学的な形で発展した。意識を、情報が脳全体に放送され、記憶、言語、判断、行動計画に利用可能になる状態として捉える。

主要な機能・メカニズム

脳内では、多くの処理が無意識に並行して行われている。その中で、注意を受けた情報や重要性の高い情報がワークスペースに上がると、他の認知システムがその情報を利用できるようになる。たとえば、身体の違和感、過去の記憶、目の前の言葉、将来不安のいずれを意識の舞台に上げるかによって、その後の感情や行動は大きく変わる。

混同しやすい概念との違い

GWTは統合情報理論と混同されやすい。IITがシステム内部の情報統合を重視するのに対し、GWTは情報が広く共有され、他の機能に利用可能になることを重視する。また、単なる注意理論でもない。注意は情報をワークスペースに上げる重要な要素だが、GWTは意識、記憶、言語、行動制御の共有基盤を説明する理論である。

科学化幸福論との関連性

本サイトにおける位置づけ

本サイトでは、グローバル・ワークスペース理論を、注意の配分とメタ認知が幸福に影響する理由を説明する理論として位置づけている。KOKOROの貯水槽モデルでは、どの情報を意識の舞台に上げ続けるかが水質を変える。反芻思考サヴォアリング認知的再評価と接続しやすい概念である。

幸福論における意味

幸福は、何が起きているかだけでなく、何を意識の中心に置くかによって変わる。良い出来事があっても注意を向けなければ流れてしまい、嫌な記憶を何度も舞台に上げれば不幸感は増幅する。GWTは、意識空間を何に使うかが感情運用の核心であることを示す。サヴォアリングはポジティブ情報を舞台に留める技術であり、反芻対策はネガティブ情報の占有を弱める技術である。

読み解く際の注意点

意識の舞台を管理するという発想は有用だが、すべてを意志でコントロールできるわけではない。強い不安、トラウマ、慢性ストレスでは、望まない情報が繰り返し意識に上がることがある。その場合、単なる気合いではなく、環境調整、身体調整、対話、専門的支援が必要になる。GWTは自己責任論ではなく、注意の仕組みを理解するための理論である。


References: Baars, B. J. (1988) "A Cognitive Theory of Consciousness", Dehaene, S. (2014) "Consciousness and the Brain"
この概念を、別の入口から読む

この用語に関係する悩みや生活上の違和感は、「悩みから読む幸福論」でも整理しています。また、周辺概念や関連する専門用語は、用語集全体から探すことができます。

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