要約
普遍的な「価値理論(価値体系の円環モデル)」を提唱し、個人の価値観の構造を世界共通の10のカテゴリーで体系化した社会心理学者である。
詳細解説
人物・組織の概要と経歴
シャローム・シュワルツ(Shalom H. Schwartz, 1936-)は、ヘブライ大学の教授であり、価値観の比較文化研究における世界的権威である。彼は、それまで曖昧であった「価値観(Values)」という概念を、人間が普遍的に抱く「達成すべき目標」として科学的に定義し、大規模な国際調査を通じて、文化を超えた価値の構造を解明した。
代表的な主著・研究と功績
彼の最大の功績は、人間の価値観を「普遍主義」「仁愛」「伝統」「協調」「安全」「権力」「達成」「快楽」「刺激」「自己決定」の10の基本的価値に分類し、それらの相関関係を円環モデル(シュワルツ・モデル)として示したことにある。彼の研究は、宗教、政治、消費行動がいかに個人の価値構造に影響を与えるかを明らかにし、現代幸福学における「個人の特性(A軸)」や「価値観(M軸)」の分析に不可欠な基盤を提供した。
科学化幸福論との関連性
本記事における文脈
宗教が個人の価値観の優先順位をいかに変化させるかを裏付ける権威として紹介されている。宗教信者に共通する価値観の傾向(伝統や協調の優先、快楽の抑制等)を分析するための理論的支柱として位置づけられている。
幸福への影響と実践的活用法
シュワルツの円環モデルを知ることは、自身の「価値観の矛盾」を整理する力をもたらす。活用法としては、10の基本価値の中から自身が最も優先したい項目を特定し、それが対極にある価値(例:自己決定vs伝統)とどう葛藤しているかを客観視することである。自身の宗教的・哲学的背景が価値の優先順位にどう反映されているかを理解することで、迷いのない一貫した行動基準(価値観コンパス)を確立できるようになる。
References: Schwartz, S. H. (1992) "Universals in the content and structure of values: Theoretical advances and empirical tests in 20 countries"

