要約
ネガティブな思考や感情を排除しようとするのではなく、ありのままに受け入れ(アクセプタンス)、自らの価値観に基づいた行動を継続する(コミットメント)心理療法である。
詳細解説
学術的・科学的定義
スティーブン・ヘイズらによって確立された。認知行動療法(CBT)の「思考を修正する」アプローチをさらに進化させ、「思考との関わり方(心理的柔軟性)」を変えることに主眼を置く。仏教的なマインドフルネスの要素を科学的な行動分析と融合させており、痛みを消すことではなく、痛みがあっても「価値ある人生」を生きることを目的とする。
重要な構成要素・メカニズム
核心となる6つのプロセス(Hexaflex)には、1.今この瞬間との接触、2.脱フュージョン(思考を事実と混同しない)、3.アクセプタンス(受容)、4.観察する自己(自己対象化)、5.価値の明確化、6.コミットした行動、がある。メカニズム的には、不快な感情(扁桃体の反応)を無理に抑え込まず、前頭前野で「ただ観測する」ことで、情動に人生を乗っ取られない「心理的柔軟性」を物理的な回路として構築する。
科学化幸福論との関連性
本記事における文脈
本記事では、認知行動療法(CBT)からさらに進化した「より現代的で幸福に直結するアプローチ」として紹介されている。自由意志の脆さを認めつつ、主導権を取り戻すための具体的な技術として位置づけられる。
幸福への影響と実践的活用法
ACTの実践は、絶望を希望へと変換する最強のパラダイムシフトとなる。活用法は、嫌な考えが浮かんだ時に「〇〇という考えが浮かんだ(脱フュージョン)」と一歩引き、その不快感を抱えたまま、自分が本当に大切にしたい価値観(例:親切であること)に沿った小さな一歩を踏み出すことである。不快感をゼロにすることを目指さず、それがあっても「幸せな行動は選べる」というエージェンシーを確立することが、究極のレジリエンスとウェルビーイングをもたらす。
References: Hayes, S. C., et al. (1999) "Acceptance and Commitment Therapy: An experiential approach to behavior change"

