要約
人類の最高レベルの知性をあらゆる分野(科学、芸術、コミュニケーション等)で遥かに凌駕し、人間には理解不可能な思考プロセスを持つに至った知能のことである。
詳細解説
学術的・技術的定義
人工超知能/ASIとは、人間の最も優れた知性を、科学、工学、戦略、創造、社会設計など広範な領域で大きく上回る人工知能を指す概念である。AGIが人間レベルの汎用性を問題にするのに対し、ASIは人間の理解や制御能力を超える知的能力を持つ可能性を含む。シンギュラリティや再帰的自己改善の議論と結びつきやすい。
主要な機能・メカニズム
ASIの議論では、AIが自らの能力を改善し、その改善がさらに次の改善を生む再帰的な加速が想定される。もしそのような知能が実現すれば、科学的発見、資源配分、医療、エネルギー、社会制度を根本的に変える可能性がある。一方で、人間の価値観と整合しない目標を持つ場合、予測困難なリスクを生む。ASIは希望とリスクが極端に大きい概念である。
混同しやすい概念との違い
ASIはAGIと同じではない。AGIは人間に近い汎用知能を指すのに対し、ASIは人間を大幅に超える知能を指す。また、単に処理速度が速いAIとも異なる。速度だけでなく、抽象化、発明、戦略、自己改善の質的な超越が問題になる。現在のAIをそのままASIと呼ぶのは不正確である。
科学化幸福論との関連性
本サイトにおける位置づけ
本サイトでは、ASIを、未来予測における最終的な文明転換の象徴として位置づけている。労働、知識、寿命、創造、社会制度の前提が大きく変わる可能性があるため、幸福の定義そのものを問い直す概念である。ポスト・スカーシティや未来信念の議論と接続する。
幸福論における意味
ASIが現実化するかどうかにかかわらず、この概念は「人間の役割とは何か」という問いを突きつける。知的能力でAIに勝つことが幸福の条件ではなくなるなら、人間の幸福は、身体性、関係性、主観的体験、美意識、倫理、意味により深く移る可能性がある。ASIは、能力主義的な幸福観を相対化する装置でもある。
読み解く際の注意点
ASIについては不確実性が極めて大きいため、断定的な未来予言として扱わないことが重要である。過度な希望は現実の制度課題を見落とし、過度な恐怖は行動を止める。幸福論としては、ASIの到来を確定事項と見るのではなく、人間の価値や意味を先に考えるための思考実験として扱うのが適切である。
References: Bostrom, N. (2014) "Superintelligence: Paths, Dangers, Strategies", Kurzweil, R. (2005) "The Singularity Is Near"

