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領域: 心理学・行動経済学・社会学カテゴリー: 専門用語同義語: 自動思考, 心のつぶやき, 思考の癖

要約

ある状況に直面した際、自分の意志とは無関係に瞬間的に浮かんでくる、評価や解釈を伴う思考のことである。

詳細解説

学術的・科学的定義

自動思考とは、認知療法の創始者アーロン・ベックが定義した概念である。深層にある信念(スキーマ)から派生し、あたかも反射のように頭をよぎる「心のつぶやき」を指す。これは客観的な事実ではなく、個人の主観的なレンズを通した解釈であるが、本人はそれが真実であると確信しやすく、感情や行動に多大な影響を与える。うつ病や不安障害においては、これがネガティブに歪む(認知の歪み)ことが特徴とされる。

重要な構成要素・メカニズム

自動思考は「言語的(言葉)」または「イメージ(画像)」として現れ、多くの場合、自分を批判したり未来を悲観したりする内容となる。脳内では、扁桃体の過活動と連動してDMN(デフォルト・モード・ネットワーク)がネガティブな反芻を繰り返す状態を指す。この思考の連鎖は強力な吸引力を持ち、一度捕らわれると行動を停止させ、不幸感を増幅させる「思考の習慣」として定着してしまう。

科学化幸福論との関連性

本記事における文脈

行動先行」によって物理的に中断・上書きすべきターゲットとして位置づけられている。行動している間は、このネガティブな「どうせ自分はダメだ」という反芻から解放されるという、行動の副次的なメリットを説明する際に用いられている。

幸福への影響と実践活用法

自動思考をメタ認知し、その「支配」から脱却することが幸福維持の鍵である。活用法としては、ネガティブな考えが浮かんだ瞬間に「あ、今自分は自動思考のループに入っているな」と客観的にラベリングし、あえてそれとは矛盾する具体的な「行動」を選択することである。思考と戦って論破しようとするのではなく、行動によって思考を「放置」し、新たな「自動行動(習慣)」を形成することで、心のOSを健全な状態へとアップデートできる。


References: Beck, A. T. (1976) "Cognitive Therapy and the Emotional Disorders", Hofmann, S. G. (2010) "An introduction to modern cognitive behavioral therapy"
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