要約
物品の所有(モノ消費)ではなく、イベント、旅行、学習などの「体験・経験」に対して価値を見出し、支出を行う消費行動である。
詳細解説
一般的な意味と幸福学におけるアプローチ
こと消費とは、物質的な豊かさよりも精神的な充足感や人間関係の構築を重視する消費スタイルである。幸福学においては、モノ消費による幸福感が「順応」によって短期間で消失するのに対し、こと消費から得られる「経験記憶」は時間の経過とともに美化され、長期的な幸福資産となることが証明されている。
幸福度を左右する科学的メカニズム
こと消費は、(1)社会的比較の対象になりにくい(他人と比べにくい)、(2)事前の期待と事後の回想という「二度の幸福」をもたらす、(3)他者との共有を通じて社会的繋がりを強化する、といったメカニズムで幸福度を高める。脳科学的には、新しい体験が神経可塑性を刺激し、自己成長感や達成感を伴うエウダイモニア的な幸福に寄与する。
科学化幸福論との関連性
本記事における文脈
幸福増幅メカニズムを起動するための「質の高い素材」を供給する手段として推奨されている。モノの購入よりも経験にお金を使うことがいかに重要であるかを示す実例として挙げられている。
幸福への影響と実践的活用法
幸福度を効率的に高めるためには、予算を「地位財(モノ)」から「非地位財(コト)」へと意識的にシフトすることが有効である。特に、強い感情を伴う経験を意図的に積み重ねることが、将来の困難に立ち向かうための心の支え(幸福の貯金)となる。読者は、単なる浪費ではなく「将来の自分を支える記憶への投資」としてこと消費を捉え直すべきである。
References: Van Boven, L., & Gilovich, T. (2003) "To do or to have? That is the question"

