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マーティン・セリグマン

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領域: 心理学・行動経済学・社会学カテゴリー: 提唱者・組織同義語: Martin Seligman, ポジティブ心理学の父

要約

ポジティブ心理学の創始者であり、学習性無力感の研究を経て、人間の繁栄(Flourishing)を科学的に探求した心理学者である。

詳細解説

人物・研究上の位置づけ

マーティン・セリグマンは、学習性無力感の研究で知られた後、ポジティブ心理学の創設を主導した心理学者である。心理学を、病理や欠損の修復だけでなく、人間の強み、意味、達成、関係性、繁栄を研究する学問へ広げた人物として位置づけられる。うつや無力感の研究から出発した点が重要であり、単に明るい考え方を広めた人物ではなく、人間が無力感からどう回復し、どう繁栄するかを長期的に問い続けた研究者である。

代表的な理論・功績

初期にはAuthentic Happiness Modelにおいて、楽しい人生、良い人生、意味ある人生という幸福の3経路を示した。その後、PERMAモデルを提唱し、ウェルビーイングをポジティブ感情、没頭、関係、意味、達成の5要素に分解した。これにより、幸福は単一の感情ではなく、複数の構成要素からなる実践可能な領域として扱われるようになった。さらに、強みの活用やポジティブ介入の研究を通じて、幸福を測定し、育て、生活や教育に応用する道を開いた。

混同しやすい概念との違い

セリグマンの理論は、単なるポジティブ思考や自己啓発とは異なる。彼が重視したのは、気分を明るくすることだけではなく、強みを発揮し、意味ある目的に関わり、関係性と達成を通じて人生を構築することである。また、SWB研究が主観的評価を中心に置くのに対し、セリグマンは幸福を構成要素として設計する実践的モデルを提示した。幸福を感じるかどうかだけでなく、幸福を支える構造を問う点に独自性がある。

科学化幸福論との関連性

本サイトにおける位置づけ

本サイトでは、セリグマンを現代幸福学を構造化した中心人物の一人として扱う。PERMAAuthentic Happiness Modelは、幸福を漠然とした感情ではなく、比較・点検・介入可能な複数要素として理解するための重要な枠組みである。幸福モデル比較の記事では、セリグマンは「幸福を構成要素へ分解し、生活に実装する」方向を代表する人物として位置づけられる。

幸福論における意味

セリグマンの意義は、幸福を受け身の状態から能動的に育てる対象へ変えた点にある。人はポジティブ感情だけでなく、没頭、良い関係、意味、達成を通じて、より持続的なウェルビーイングを築ける。この視点は、快楽だけでは満たされない現代人の幸福戦略を考えるうえで重要である。とくに、何をすれば幸福になれるのかを一つの答えに還元せず、複数の経路を持つものとして理解できる点に実践的価値がある。

読み解く際の注意点

セリグマンの理論を使う際には、PERMAの5要素をチェックリストのように機械的に満たそうとしないことが重要である。人によって重視する要素は異なり、時期によっても優先順位は変わる。また、ポジティブ心理学は不幸や苦痛を否定するものではない。苦痛を軽視して前向きさを押しつけると、理論の意味を取り違える。苦痛を見たうえで、人間がどう繁栄できるかを問う枠組みとして読む必要がある。


References: Seligman, M. E. P. (2011) "Flourish"
この概念を、別の入口から読む

この用語に関係する悩みや生活上の違和感は、「悩みから読む幸福論」でも整理しています。また、周辺概念や関連する専門用語は、用語集全体から探すことができます。

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