要約
適切な労働時間は自己実現を支えるが、過剰な労働は自由時間という希少な資源を奪い、人生全体の幸福度を著しく阻害する要因となる。
詳細解説
一般的な意味と幸福学におけるアプローチ
労働時間は所得獲得のために投入される「人生の残り時間」である。幸福学では、労働による報酬ややりがいと、労働によって失われる自由時間(余暇)のトレードオフが、主観的幸福感にどう影響するかを研究する。
幸福度を左右する科学的メカニズム
仕事に強い意義(天職)を見出している場合を除き、労働時間の増加は幸福度と負の相関を示す。過剰な労働は身体的疲労、睡眠不足、家族や友人との交流不足を招き、精神的健康を損なう。所得が一定水準を超えている場合、労働時間を減らして自由を得る方が、幸福度の向上幅は大きくなることが一般的である。
科学化幸福論との関連性
本記事における文脈
地位財獲得のために支払う「現在のコスト」として定義されている。将来の自由を夢見て現在を過剰労働に捧げることを「採算の合わない取引」と批判し、労働時間の短縮が幸福を高めることを説いている。
幸福への影響と実践的活用法
収入が生活基盤を維持できるレベルにあるならば、労働時間を短縮し、自己決定権を行使できる時間を増やすことが幸福への最短ルートである。仕事への執着を「勝算」で見極め、将来のために今を切り売りしすぎていないか定期的に点検し、時間資源を非地位財へ再配分すべきである。
References: 大竹 文雄 (2005) "日本の不平等 ―格差社会の幻想と未来"

