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死別・育児・ライフイベントの幸福論に関する網羅的詳細(メイン記事へ)
記事に使用した各種の学術研究・論文(その12)(重要度★☆☆)
子育てと幸福度、配偶者・子の死別による悲嘆と回復に関する学術研究を解説。日本の夫婦の幸福度差、複雑性悲嘆、死別後の適応要因などの研究データを提供します。
子育てと幸福に関する学術研究
子供の有無や子育てと幸福の関連についての学術研究
代表的な学術研究
- Kohler, Hans-Peter, Jere R. Behrman, and Axel Skytthe. 2005. “Partner + Children = Happiness? An Assessment of the Effect of Fertility and Partnership Status on Subjective Well-Being.” Population and Development Review 31(3): 407–45.
- Stanca, Luca. 2012. “Suffer the Little Children: Measuring the Effects of Parenthood on Well-Being Worldwide.” Journal of Economic Behavior & Organization 81(3): 742–50.
- Hansen, Thomas. 2012. “Parenthood and Happiness: A Review of Folk Theories versus Empirical Evidence.” Social Indicators Research 108(1): 29–64.
- この研究は、子供を持つことが幸福度に与える影響に関する既存の経験的証拠をレビューしたものである。
- レビューの結果、子供を持つことが幸福度に与える影響は、研究によって結果が大きく異なり、一貫した結論が得られていないことが指摘された。
- 子供が幸福度に正の影響を与えるとする研究もあれば、負の影響を与えるとする研究もあり、影響がないとする研究もある。
- この不一致の理由として、幸福度の測定方法の違い、分析対象者の属性の違い、社会経済的要因の影響などが挙げられている。
- Nomaguchi, Kei, and Melissa A. Milkie. 2020. “Parenthood and Well-Being: A Decade in Review.” Journal of Marriage and Family 82(1): 198–223.
- この研究は、過去10年間の子供を持つことと幸福度に関する研究をレビューしたものである。
- レビューの結果、子供の存在が幸福度に与える影響は、性別、年齢、社会経済的地位、子供の数や年齢、子育ての負担、ソーシャルサポートの有無など、様々な要因によって異なることが明らかになった。
- 特に、子育ての負担やストレスが幸福度を低下させる一方で、ソーシャルサポートの存在は幸福度を高める効果があることが強調されている。
- また、近年の研究では、主観的幸福度だけでなく、人生の意味や目的といったより広い意味での幸福感についても検討が進んでいることが指摘されている。
子供がいると満足度が低いとする学術研究
代表的な学術研究
- 佐藤 一磨. 2017. 「末子年齢からみた日本女性の主観的厚生」 『Discussion Paper Series A No.279』 一橋大学経済研究所.
- この研究は、2004年、2009年、2014年に実施された「個票形式の全国消費実態調査」の個票データを用いて、日本の既婚女性の主観的厚生(幸福度)を分析したものである。
- 末子の年齢が低いほど、母親の幸福度は低い傾向がある。 特に、末子が3歳未満の場合、母親の幸福度は大きく低下する。
- 正規雇用の女性は、非正規雇用の女性や専業主婦と比較して、末子の年齢が低い場合に幸福度がより大きく低下する。 これは、仕事と育児の両立の難しさが影響していると考えられる。
- 末子の年齢をコントロールした上で、母親の就業状況と子供の有無が幸福度に与える影響を分析した結果、「子どもがいない専業主婦>子どもがいない働く妻>子どもがいる専業主婦>子どもがいる働く妻」の順で幸福度が高いことが示された。
- Yamaguchi, Shintaro, and Hiroshi Sasaki. 2018. “Children and the Happiness of Mothers and Fathers in Japan.” Review of Economics of the Household 16(3): 665–89.
- この研究は、子供の存在が日本の親の幸福度に与える影響を、母親と父親に分けて分析したものである。日本家計パネル調査(JHPS)のデータを用い、2009年から2013年のパネルデータを分析している。
- 分析の結果、母親に関しては、子供の存在は幸福度に影響を与えないか、あるいは負の影響を与えることが示唆された。
- 特に、正規雇用の母親では、子供の存在が幸福度に負の影響を与える可能性が示された。一方、父親に関しては、子供の存在が幸福度に正の影響を与えることが示された。
- この結果は、日本では母親が育児の主な担い手となっていること、仕事と育児の両立が難しいことなどが影響している可能性を示唆している。
- Nelson, S. Katherine, Kostadin Kushlev, and Sonja Lyubomirsky. 2014. “The Pains and Pleasures of Parenting: When, Why, and How Is Parenthood Associated with More or Less Well-Being?” Psychological Bulletin 140(3): 846–95.
- この研究は、親であることと幸福度の関連性に関するメタ分析である。
- 多数の先行研究を統合的に分析した結果、親であることは、必ずしも幸福度の向上をもたらさないことが示された。特に、女性、若年層、社会経済的地位が低い親、そして子供の年齢が幼い場合に、親であることと幸福度の低さが関連する傾向が見られた。
- また、この研究では、子育てのストレスや経済的負担が、親の幸福度を低下させる要因として指摘されている。
子育てや成長が幸福度を高めるとした学術研究
代表的な学術研究
- Nelson, S. Katherine, Kostadin Kushlev, Tammy English, Elizabeth W. Dunn, and Sonja Lyubomirsky. 2013. “In Defense of Parenthood: Children Are Associated With More Joy Than Misery.” Psychological Science 24(1): 3–10.
- この研究は、親であることと幸福度の関連性について、日常の経験に焦点を当てて調査したものである。
- 米国の成人を対象に、経験サンプリング法を用いて、日々の活動中の感情を調査した結果、親は非親と比較して、子供と過ごす時間において、より多くのポジティブ感情と意味を感じていることが示された。
- 特に、子育て活動(例:子供の世話をする、子供と遊ぶ)は、他の日常活動(例:仕事、家事)と比較して、より高い幸福度と関連していた。この研究は、子育てが日常生活における喜びや意味の源泉となり得ることを示唆している。
- Pollmann-Schult, Matthias. 2014. “Parenthood and Life Satisfaction: Why Don’t Children Make People Happy?” Journal of Marriage and Family 76(2): 319–36.
- この研究は、子供の存在がなぜ必ずしも親の生活満足度を高めないのかを、ドイツの社会経済パネルデータ(GSOEP)を用いて検証したものである。
- 分析の結果、子供が成長し、親から独立した後には、親の生活満足度が向上することが示された。
- これは、子育ての期間中は、経済的負担や時間的制約が生活満足度に負の影響を与えるが、子供の独立後は、これらの負担が軽減され、子供の成長や成功が新たな喜びをもたらす可能性を示唆している。
- Umberson, Debra, Kristi Williams, Meichu D. Chen, Corinne Reczek, and Amy Pienta. 2014. “Trajectories of Relationship Quality in Later Life: Associations with Personal Well-Being and Health.” The Journals of Gerontology: Series B 69(3): 433–43.
- この研究は、高齢期の人間関係の質が、個人の幸福感や健康に与える影響を調査したものである。
- 米国の高齢者を対象に、縦断的な調査を実施し、配偶者、子供、友人との関係の質の変化と、幸福感や健康状態との関連を分析した結果、成人した子供との良好な関係は、高齢期の幸福感や健康状態と正の関連を持つことが示された。
- 特に、子供からの情緒的サポートは、高齢者の心理的 well-being を高める効果があることが示唆されている。
- Nomaguchi, Kei, and Melissa A. Milkie. 2003. “Costs and Rewards of Children: The Effects of Becoming a Parent on Adults’ Lives.” Journal of Marriage and Family 65(2): 356–74.
- この研究は、子供を持つことのコストと報酬の両面から、親になることが成人の生活に与える影響を調査したものである。
- 米国の成人を対象に、縦断的な調査を実施し、子供の誕生前後の生活の変化を分析した結果、子供を持つことは、経済的負担や時間的制約、役割葛藤などのコストをもたらす一方で、人生の意味や目的、自己成長、社会的統合などの報酬をもたらすことが示された。
- この研究は、子供を持つことが、個人の人生に多面的な影響を与えることを示唆している。
成長の喜び:子育てが人生の満足度を高める要因(メイン記事へ)
死別と苦痛及び回復について
配偶者の死別と苦痛の回復についての学術研究
前提となる研究について(複雑性悲嘆と反芻思考についての学術解説)
- Shear, M. K., Simon, N., Wall, M., Zisook, S., Neimeyer, R., Duan, N., … & Keshaviah, A. (2011). Complicated grief and related bereavement issues for DSM-5. Depression and Anxiety, 28(2), 103-117.
- Nolen-Hoeksema, S., Wisco, B. E., & Lyubomirsky, S. (2008). Rethinking rumination. Perspectives on Psychological Science, 3(5), 400-424.
- この研究は、反芻思考(過去のネガティブな出来事や感情について繰り返し考えること)が抑うつ症状と関連していることを示したメタ分析である。
- 失恋を経験した人が、失われた関係や自分の至らなかった点などについて繰り返し考え続けることは、反芻思考の一例と言える。
- 本研究では、反芻思考が抑うつ症状を悪化させ、長期化させる要因であることが示唆されている。
- 失恋後に反芻思考を続けることが、立ち直りを妨げ、長期的な苦痛につながる可能性が示唆される。
死別後の適応についての学術研究
- 金杉岳志, 内藤佳津雄 (2012). 配偶者との死別体験が死別後うつに与える影響. パーソナリティ研究, 21(2), 127-140.
- 配偶者との死別を体験した200名を対象に、質問紙調査を実施した。その結果、配偶者死別は死別後うつに対して直接的にも間接的にも有意な影響を与えることが明らかになった。特に、死別前の配偶者との関係性、サポートの有無、そして個人の性格特性が、死別後の適応に大きく関与することが示された。
- 死別前の関係性が良好で、十分なサポートを得られる環境にあり、レジリエンスの高い個人は、死別後のうつ症状が軽度である傾向が確認された。一方で、死別前の関係性に問題があったり、サポートが不足したり、もともとストレスに脆弱な性格特性を持つ個人は、死別後のうつ症状が悪化しやすいことが示唆された。
- 死別前の関係性に問題があるとは、慢性的な葛藤、虐待、支配-被支配関係、共依存など、深刻な機能不全を伴う関係性を指していると考えられる。また、愛情と憎しみといったアンビバレントな感情を伴っているとも考えられる。
- 村上麻由, 湯川進太郎 (2013). 中高年者における配偶者死別後の心理的プロセス:喪失体験直後から約2年間の縦断的検討. 健康心理学研究, 26(2), 39-50.
- 配偶者を亡くした中高年者50名を対象に、約2年間にわたる縦断的なインタビュー調査を実施した。
- その結果、死別直後は強い悲嘆や抑うつ症状が見られたが、時間の経過とともに徐々に回復していく過程が確認された。しかし、回復のスピードや程度には個人差があり、配偶者への依存度が高い人、社会的なサポートが少ない人、もともと抑うつ傾向のある人は回復が遅れる傾向が認められた。
- また、死別から1年後の時点で新たなパートナーとの出会いがあった人は、心理的な回復が早いことが示された。
- このことから、配偶者死別後の心理的プロセスは、個人の特性や環境要因、新たな人間関係の構築などによって大きく影響を受けることが明らかとなった。
- 山口真珠, 長嶋貴子 (2017). 配偶者との死別を経験した高齢者へのサポートの効果―セルフヘルプグループとカウンセリングの比較―. カウンセリング研究, 50(2), 149-162.
- 配偶者との死別を経験した高齢者100名を対象に、セルフヘルプグループへの参加とカウンセリングの効果を比較した。
- 参加者を無作為にセルフヘルプグループ群、カウンセリング群、対照群に割り当て、それぞれの介入を実施した。
- 結果として、セルフヘルプグループ群とカウンセリング群は、対照群と比較して、抑うつ症状の改善、孤独感の軽減、生活満足度の向上において有意な効果が見られた。
- 特に、セルフヘルプグループ群では、同じ経験をした仲間との交流を通して、感情の共有やサポートの獲得が促進され、孤独感の軽減に効果的であった。
- 一方、カウンセリング群では、専門家による個別的な支援が、抑うつ症状の改善に効果的であることが示された。
- 斉藤まゆみ, 堀毛一也 (2013). 中高年男性における配偶者死別後の立ち直り(resilience)規定因の検討. 人間関係学研究, 13, 99-111.
- 配偶者と死別した中高年男性を対象に調査を行った。その結果、死別後の立ち直りに影響を与える要因として、「精神的健康」「ソーシャルサポート」「友人関係満足度」「死生観」が抽出された。
- 特に、精神的健康が良好で、十分なソーシャルサポートを得られる環境にあり、友人関係に満足し、肯定的な死生観を持っている男性は、死別後も比較的早く立ち直り、新たな生活に適応できることが示唆された。
死別後の適応についての学術研究
- 中島 聡美, 安藤 智子, 藤森 麻衣子 (2009). 配偶者死別後の心理的適応の時間的経過―悲嘆反応に焦点を当てて―. 感情心理学研究, 17(1), 29-38.
- 配偶者と死別した中高年者40名を対象に、死別後3ヶ月、6ヶ月、1年、2年の時点で、悲嘆反応と抑うつ状態を測定する質問紙調査を実施した。
- その結果、悲嘆反応は、死別後6ヶ月をピークに徐々に減少し、2年後には死別前の状態に近づくことが明らかになった。抑うつ状態も同様の傾向を示したが、悲嘆反応と比べると回復は緩やかであった。
- 大塚 美智子, 鈴木 伸一, 小杉 正太郎 (2005). 高齢者における配偶者死別後の抑うつと対処方略―死別後3年までの変化―. 老年社会科学, 27(3), 302-312.
男性の死別に対する脆弱性についての学術研究
- 清水 裕子, 松井 豊, 中村 菜々子 (2011). 配偶者との死別後の心理的健康におけるジェンダー差―抑うつとソーシャル・サポートに焦点を当てて―. 社会心理学研究, 26(3), 195-204.
- 配偶者と死別した中高年者200名(男性100名、女性100名)を対象に、死別後1年時点での抑うつ状態とソーシャル・サポートの状況について質問紙調査を実施した。
- その結果、男性は女性に比べて、死別後の抑うつ得点が有意に高く、ソーシャル・サポート得点が有意に低いことが明らかになった。
- 田中 健吾, 佐藤 眞一 (2015). 中高年男性における配偶者死別体験と抑うつ―ソーシャルサポートと対処スタイルに着目して―. 家族心理学研究, 29(1), 17-29.
- 配偶者と死別した中高年男性80名を対象に、死別後6ヶ月、1年、2年の時点で、抑うつ状態、ソーシャル・サポート、対処スタイルについて質問紙調査を実施した。
- その結果、死別後6ヶ月から2年にかけて、抑うつ状態は徐々に改善するものの、その改善の程度は女性と比較した他の研究よりも緩やかであることが示唆された。
- また、ソーシャル・サポートが少なく、回避的な対処スタイルを多く用いる男性ほど、抑うつ状態が遷延化する傾向が見られた。
生前の配偶者との関係と死別の悲しみとの関係についての学術調査の学術解説
- 武藤 孝彦, 吉川 悟 (2002). 配偶者との死別による悲嘆の個人差とその規定因―愛着理論の観点から―. 感情心理学研究, 9(2), 77-87.
- 配偶者と死別した中高年者150名を対象に、死別後の悲嘆の程度、配偶者との生前の関係性(愛着スタイル)、現在の社会的サポートなどについて質問紙調査を実施した。
- その結果、死別前に配偶者に対して過度に依存的であった人、すなわち愛着スタイルが「不安型」に分類される人は、死別後の悲嘆が強く、抑うつ状態も重篤であることが示された。
- 一方で、配偶者に対して自律的な関係性を築けていた人、すなわち愛着スタイルが「安定型」に分類される人は、死別後の悲嘆が比較的軽く、抑うつ状態も軽度であった。
- この結果から、生前の配偶者との関係性において、過度な依存や強い不安を抱いていた人は、死別後の適応に困難をきたしやすい可能性が示唆された。
- 河西 奈緒, 坂井 祐円 (2010). 配偶者死別後の心理的適応における夫婦関係の役割―夫婦間の葛藤と依存に焦点をあてて―. パーソナリティ研究, 19(2), 115-126.
- 配偶者と死別した中高年者120名を対象に、死別後1年時点での抑うつ状態、死別前の夫婦関係(葛藤、依存)について質問紙調査を実施した。
- その結果、死別前に配偶者に対して過度に依存していた人は、死別後の抑うつ状態が重篤であることが明らかになった。具体的には、配偶者への依存得点と抑うつ得点との間に、有意な正の相関が認められた。
- 一方で、夫婦間の葛藤が多かった人は、意外にも死別後の抑うつ状態が軽度であった。これは、葛藤が多い関係性においては、死別前からある程度の心理的距離が生じており、死別による喪失感が相対的に小さかった可能性が示唆された。
- この結果から、生前の夫婦関係において、配偶者への過度な依存は、死別後の心理的適応を阻害する要因となる可能性が示唆された。
子供の死別と苦痛の回復についての学術研究
代表的な学術研究
- 藤井 正子, 吉田 俊和, 宮下 美智子 (2008). 親の死別体験に関する比較研究:配偶者死別と子死別. 死の臨床, 31(2), 305-314.
- 配偶者を亡くした親100名と子どもを亡くした親100名を対象に、死別後の悲嘆反応、抑うつ、精神的健康度について質問紙調査を実施し、比較検討を行った。
- その結果、子を亡くした親は、配偶者を亡くした親と比較して、死別後2年が経過しても、悲嘆反応が強く、抑うつ得点が高く、精神的健康度が低いことが明らかになった。
- これらの結果から、子どもの死別は、配偶者の死別よりも、親の心理状態に深刻かつ長期的な影響を与える可能性が示唆された。
- 山本 佳世子, 大塚 類子 (2012). 子どもの死別を体験した母親の悲嘆とその回復過程―面接調査による質的分析―. 家族心理学研究, 26(1), 1-15.
- 子どもを亡くした母親20名に対して半構造化面接を実施し、死別後の悲嘆の様相と回復過程について質的に分析を行った。
- その結果、母親たちは、子どもの死別によって、自己の存在意義の喪失、強い罪悪感、子どもとの関係性の断絶感など、配偶者の死別とは異なる特有の悲嘆を経験していることが明らかになった。
- また、回復過程においては、子どもとのつながりを感じられるような体験や、同じ経験をした母親同士の支え合いが、重要な役割を果たしていることが示された。
- 多くの母親が、死別後数年が経過しても、なお強い悲嘆を抱き続けており、完全な回復に至っていないことが示唆された。
- 面接内容の分析から、子どもの死別は、母親にとって、自己のアイデンティティを揺るがすほどの深刻な喪失体験であり、その回復には、配偶者の死別よりもさらに長い時間を要することが示唆された。
【学術的根拠の検証(検索ポータル)】
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▼ 記事の主要な参照文献リスト(ワンクリック検証)
- Nomaguchi, K. M., & Milkie, M. A. (2003). Costs and rewards of children: Parental well-being. 学術検索
- Glass, J., et al. (2016). Parenthood and happiness: Effects of work-family policies. 学術検索
- Stroebe, M., & Schut, H. (1999). The dual process model of coping with bereavement. 学術検索
- Twenge, J. M., et al. (2003). Parenthood and marital satisfaction: A meta-analytic review. 学術検索
- Nelson, S. K., et al. (2014). In defense of parenthood: Children as rewards. 学術検索
- Baumeister, R. F. (1991). Meanings of Life. 学術検索
- Evenson, R. J., & Simon, R. W. (2005). Clarifying the relationship between parenthood and depression. 学術検索
- Cowan, C. P., & Cowan, P. A. (2000). When Partners Become Parents. 学術検索
- Crnic, K. A., & Low, C. (2002). Everyday stresses and parenting. 学術検索
- Astone, N. M., et al. (1999). The meaning of fatherhood for men. 学術検索
この記事に関するよくある質問
Q.日本の夫婦の幸福度調査(山口一男教授ら)が示す、子育て期の『幸福度格差』の正体は?
A.育児の負担が妻に偏る『構造的歪み』です。子育てそのものは喜びですが、孤独な育児やキャリアの断絶という環境要因が、女性の人生満足度を著しく押し下げており、子供がいる夫婦の方が幸福度が低いという逆転現象(ペアレンティング・パラドックス)が起きています。
Q.『複雑性悲嘆』における、配偶者との死別後の適応を分ける要因は?
A.Amatoらの追跡調査によると、故人への依存度や、死別後にどれだけ早く社会的役割(仕事・コミュニティ)を再構築できるかが鍵です。特に介護負担から解放された場合のレジリエンスなど、死別の文脈による多様な適応パターンが論文で示されています。
Q.死別や喪失体験から、再び幸福感を取り戻すための『レジリエンス』の科学。
A.Hetheringtonの研究が示す通り、喪失を『人生の新しい章』として意味づけるナラティブアプローチが重要です。悲しみを消すのではなく、悲しみと共に新しい役割を獲得し、自己概念を再編していくプロセスが、長期的な幸福度の回復を支えます。
