公認会計士/経営コンサルが真面目に「幸福概念」を追求

哲学、心理学の他、脳科学、遺伝学、各種統計などを融合
臨床心理士/公認心理師が監修

カテゴリー
★★参照した学術研究★★

【学術データ】ゴットマン四騎士,結婚のハネムーン効果,離婚後の6つの適応パターンの追跡研究

結婚と幸福度の関係、離婚後の幸福度、夫婦のコミュニケーション(ゴットマンの四騎士)、自己実現とパートナーシップに関する主要な学術研究・論文データを網羅的に解説します。

結婚と幸福度の学術データ:夫婦関係、コミュニケーション、離婚自己実現に関する主要研究まとめ

【共同研究について】 本分野にご興味をお持ちで、専門知識や学位のある方と情報交換などができればと考えております。 ※すべてのお問い合わせへの返信はお約束できかねます。あらかじめご了承ください。 [お問い合わせフォームへ]

記事に使用した各種の学術研究・論文(その4)(重要度★☆☆)

結婚と幸福度の関係、離婚後の幸福度、夫婦のコミュニケーション(ゴットマンの四騎士)、自己実現とパートナーシップに関する主要な学術研究・論文データを網羅的に解説します。

結婚の有無と幸福度の関係についての学術研究

結婚と幸福度の関係についての学術研究

代表的な学術研究

結婚している人とそうでない人の幸福度の差を年代別、男女別に分析した研究は複多数存在します。

  • Blanchflower, D. G., & Oswald, A. J. (2004). Well-being over time in Britain and the USA. Journal of public economics, 88(7-8), 1359-1386.
    • イギリスとアメリカのデータを分析し、年齢と幸福度の関係をU字型に記述した研究。
    • 結婚による幸福度の上昇効果は男女ともに認められるものの、男性の方がより顕著であることを示唆している。
  • Stack, S., & Eshleman, J. R. (1998). Marital status and happiness: A 17-nation study. Journal of Marriage and the Family, 60(2), 527-536.
    • 17カ国のデータを分析し、結婚と幸福度の関係を国際的に比較した研究。
    • 多くの国で結婚している人の方が幸福度が高い傾向が見られましたが、その程度は国によって異なっていた。アイルランド、北アイルランド、スペイン、イタリア等では優位に高かった。一方、ドイツやフランスでは比較的弱かった。
    • 結婚が幸福感を高めるメカニズムとして、社会的役割の獲得と経済的な安定が重要である可能性を示唆している。
  • Stutzer & Frey (2006). Does Marriage Make People Happy, Or Do Happy People Get Married?
    • ドイツの社会経済パネル調査データを用い、結婚と人生満足度の関係を分析。結婚は人生満足度を高める効果があるが、その効果は年齢や性別によって異なることを示唆。
    • 過去は「結婚が幸福度を高める」という因EqvO/3T5t3B/G5Xj2Pq9S8R+Cg==
    • 結婚による幸福度への影響が、個人の属性によって異なることを示した研究。結婚が幸福度に与える影響が、個人の属性(年齢、性別など)や結婚前の幸福度によって異なる
    • 結婚による幸福度は、結婚前に幸福度が高く、若いうちに結婚し、女性よりも男性の方が幸福度が高かった。
  • Lee, S., & Ono, H. (2019). The marital happiness paradox: Rising marital happiness in Japan despite declining subjective well-being. Journal of Happiness Studies, 20(5), 1585-1604.
    • 日本のデータを分析し、全体の主観的幸福感が低下しているにもかかわらず、結婚している人の幸福感(夫婦の幸福度)は上昇しているという「逆説 (パラドックス)」 を検証し、その要因を分析した。
    • 日本の夫婦の幸福度は、1990年代から2010年代にかけて実際に上昇している。同時期には全体の主観的幸福感が低下傾向にあった。
    • この「逆説」は、夫婦間の「専門化 (specialization)」の進展と関連している。性別役割分業が明確になるほど、夫婦の幸福度が高まる傾向が見られました。
    • 夫婦の幸福度の上昇は、主に「伝統的な」価値観を持つ人々に顕著に見られる。 性別役割分業を肯定的に捉え、結婚や家族を重視する人々において、夫婦の幸福度の上昇幅が大きい

関連する学術研究

これらの研究に加えて、国内の研究機関や調査会社による報告書も参考になります。

  • 明治安田生活福祉研究所: 「人生100年時代の結婚に関する意識と実態」(2018年)
    • 結婚を「良いもの」「どちらかといえば良いもの」と考える人が全体の7割を超える。
    • 結婚には「愛情や信頼」や「安らぎ」を期待する人が多い。
    • 若い世代ほど、結婚を経済的な安定や社会的ステータスと結びつけて考える傾向がある。
    • 結婚生活に満足している人が全体の約8割。
    • 夫婦円満の秘訣は「感謝の気持ちを伝える」「よく会話する」「適度な距離感を保つ」など。
    • 夫婦間の不満の原因は「価値観の違い」「家事・育児の分担」「コミュニケーション不足」など。
  • 国立社会保障・人口問題研究所: 「出生動向基本調査」
    • 未婚化・晩婚化が進行している。
    • 結婚相手に求める条件は、男女ともに「人柄」を最も重視している。
    • 結婚の利点として、女性は「経済的安定」、男性は「精神的安定」を挙げる傾向がある。
  • 内閣府「国民生活に関する世論調査」: (毎年実施)
    • 結婚している人は、そうでない人と比べて生活の満足度が高い傾向が継続的に見られる。
    • しかし、その差は近年縮小傾向にあり、結婚以外の要素が幸福度に与える影響が大きくなっている可能性を示唆。

子供の有無と幸福度の学術研究

  • Yamada, M. (2010). The paradox of marital happiness in Japan. Journal of Comparative Family Studies, 41(3), 391-406.
    • 日本のデータを分析し、結婚している女性の方が未婚女性よりも幸福度が高い傾向があることを示した研究。ただし、子どもの有無や就業状況によって幸福度は異なり、特に子どもがいる既婚女性の幸福度が低いことを指摘しています。
  • 山口一男 (2015) 「女性の就業と家族に関する全国調査(JWASF)による日本女性の就業行動とその規定要因の計量分析」
    • 「女性の就業と家族に関する全国調査(JWASF)」のデータを用いて分析され、同様に、子どものいる専業主婦の幸福度が、子どものいない有業女性よりも低いという結果が示された。
  • 筒井淳也・永井暁子 (2017) 「「専業主婦」は幸せか」
    • 平成26年度の「男女共同参画社会に関する世論調査」のデータなどを用いて分析されており、子どものいる専業主婦の主観的幸福感が、子どものいない既婚有業女性よりも低い傾向を指摘した。
    • 専業主婦が一概に幸福度が高いわけではなく、子どもの有無や年齢などによって状況が異なることを示唆している。
    • 子どものいる専業主婦の幸福度が低い理由としては、育児負担の大きさ、社会からの孤立感、自己実現の機会の制限などが考えられる。

結婚による幸福度の期間についての学術研究

ハネムーン効果とは

結婚や新しい仕事などのポジティブな出来事の直後に、幸福度が大きく向上します。「ハネムーン効果」とは、結婚や新しい仕事など、大きなポジティブなライフイベントの直後に幸福度が一時的に大きく向上する現象を指します。 まるで新婚旅行(ハネムーン)のように、その期間は幸福感や満足感が高まります。結婚や新しい仕事などのポジティブな出来事の直後に、幸福度が大きく向上します。

しかし、多くの場合、この効果は一時的であり、時間の経過とともに幸福度は徐々に元のレベルに戻っていく傾向があります。この現象を「順応」(adaptation) または「慣れ」(habituation) と呼びます。

代表的な学術研究

  • Lucas, R. E., Clark, A. E., Georgellis, Y., & Diener, E. (2003). Reexamining adaptation and the set point model of happiness: Reactions to changes in marital status. Journal of Personality and Social Psychology, 84(3), 527–539.
    • この研究は、ドイツの社会経済パネル調査 (German Socio-Economic Panel) のデータを用いて、結婚、離婚、配偶者の死などのライフイベントが幸福度に与える影響を長期的に追跡調査した。
    • 結婚後2年以内に元のレベルに戻り始める傾向がある。
    • 結果として、結婚は一時的に幸福度を大きく上昇させるものの、その効果は数年で減衰し、結婚前のレベルに戻る傾向があることが示された。つまり、ハネムーン期間の後に「順応」が起こることを示唆している。
    • この研究は、セットポイント理論」を支持するものとして、よく引用される。「セットポイント理論」とは、人は幸福度の基準値(セットポイント)を持っており、大きなライフイベントによって一時的に幸福度が上下しても、やがて元の基準値に戻るという考え方。
  • Lucas, R. E. (2005). Time does not heal all wounds: A longitudinal study of reaction and adaptation to divorce. Psychological Science, 16(12), 945-950.
    • こちらもドイツの社会経済パネル調査を用いた研究。
    • 離婚を経験した人々の幸福度の変化を調査し、離婚は幸福度に大きな負の影響を与えるものの、時間とともにその影響は弱まり、部分的に順応が起こることを示した。
    • この研究は結婚だけでなく、離婚という負のライフイベントでも順応が起こる可能性を示唆している。
  • Qari, S. (2014). Marriage and happiness: A longitudinal study. Journal of Behavioral and Experimental Economics, 50, 29-33.
    • この研究では、アメリカのデータを用いて、結婚による幸福度の上昇効果は約4年で元のレベルに戻ることを示されている。
  • Yap, S. C. Y., Anusic, I., & Lucas, R. E. (2012). Does personality moderate reaction and adaptation to major life events? Evidence from the British Household Panel Survey. Journal of Research in Personality, 46(5), 477–488.
    • この研究は、イギリスの家計パネル調査 (British Household Panel Survey) のデータを用いて、結婚や出産などのライフイベントが幸福度に与える影響を調査した。
    • 結果として、結婚は一時的に幸福度を高めるものの、数年後には元のレベルに戻る傾向があることが示された。また、個人の性格特性によって順応の程度が異なることも示唆されている。

夫婦関係(パートナー関係)と幸福度についての学術研究

夫婦関係と幸福度の関係についての学術研究

代表的な学術研究

  • Gottman, J. M. (1999). The marriage clinic: A scientifically based marital therapy. W. W. Norton & Company.
    • John Gottman博士は、夫婦関係研究の第一人者であり、長年にわたる縦断研究を通じて、夫婦間のコミュニケーションパターンが離婚を予測する重要な要因であることを明らかにした。
    • 最良の夫婦関係とは、このような肯定的な関わりが豊富で、お互いを尊重し、支え合い、理解し合える関係と定義できる。このような関係性が、単に離婚を防ぐだけでなく、夫婦双方にとって大きな幸福感と精神的な充足感をもたらすことを示唆。
    • 非難、侮辱、自己防衛、逃避という4つのネガティブなコミュニケーションパターンを「黙示録の四騎士 (Four Horsemen of the Apocalypse)」と呼び、これらが夫婦関係の破綻を予測する強い指標であるとしています。逆に、肯定的な関わり、共感、妥協などが、幸福な夫婦関係を維持するために重要であると指摘している。
  • Bradbury, T. N., Fincham, F. D., & Beach, S. R. (2000). Research on the nature and determinants of marital satisfaction: A decade in review. Journal of Marriage and Family, 62(4), 964-980.
    • この論文は、1990年代に行われた夫婦の幸福度に関する研究をレビューし、夫婦関係の質を決定する要因を包括的に分析している。
    • 質の高いコミュニケーション、効果的な紛争解決、愛情表現、充実した性生活などが、夫婦の幸福度に強く関連していることを示唆。
    • オープンで正直なコミュニケーション、共感的な傾聴、肯定的な表現、建設的な議論、妥協と合意形成、罪や失敗の赦し、愛情の表出、質の高い時間を共有する、充実した性生活、ポジティブな帰属スタイル(良い出来事はパートナーのおかげでい出来事は一時的・外的要因のせいとすること)、配偶者と家族や友人からのサポート等が夫婦に幸福をもたらすと分析した。
    • お互いの成長を促し、人生における困難を乗り越えるための強力なサポートシステムとなり、結果として非常に大きな幸福感をもたらすと考えられる。
  • Fincham, F. D., & Bradbury, T. N. (1992). Assessing attributions in marriage: The relationship attribution measure. Journal of Personality and Social Psychology, 62(3), 457.
    • 配偶者の行動に対する帰属 (attribution) の仕方が、夫婦の幸福度に影響を与えることを示した研究。
    • ネガティブな出来事に対して、配偶者の内的・安定的・全体的な要因に帰属する傾向(例:「パートナーがいつも私をイライラさせる」)は、夫婦の満足度を低下させる。
    • 一方、ポジティブな出来事をパートナーの内的な要因に帰属させ、ネガティブな出来事を外的・一時的・特定の要因に帰属させる傾向(例:「今日はたまたま機嫌が悪かったんだ」)は、夫婦の満足度を高める。
  • Caughlin, J. P., Huston, T. L., & Houts, R. M. (2000). How does personality matter in marriage? An examination of trait anxiety, interpersonal negativity, and marital satisfaction. Journal of Personality and Social Psychology, 78(2), 326.
    • 性格特性が夫婦の幸福度に与える影響を調査した研究。
    • 神経症傾向(不安や抑うつなどのネガティブな感情を経験しやすい傾向) が高い人は、夫婦の満足度が低い傾向があることが示された。
    • また、対人関係におけるネガティブな態度も、夫婦の満足度に悪影響を与えることが明らかになった。
  • Karney, B. R., & Bradbury, T. N. (1995). The longitudinal course of marital quality and stability: A review of theory, method, and research. Psychological bulletin, 118(1), 3.
    • 夫婦の幸福度の長期的な変化を調査した縦断研究している。
    • 結婚当初は高い幸福度も、時間とともに低下する傾向があること(ハネムーン効果)、そしてその低下の度合いは夫婦によって異なることが示されました。また、ストレスフルなライフイベントが、夫婦の幸福度に大きな影響を与えることを指摘した。
    • 結婚初期の高い幸福感を維持し、その後の低下を緩和するためには、効果的なコミュニケーション、建設的な紛争解決、現実的な期待、ストレスへの対処能力、ポジティブな帰属スタイル、社会的サポート、そして個人の特性が重要であることを示している。
  • Claxton, A., O’Rourke, N., Smith, J. Z., & DeLongis, A. (2012). Personality traits and marital satisfaction within enduring relationships: An intra-couple discrepancy approach. Journal of Social and Personal Relationships, 29(3), 375-396.
    • 夫婦間の性格特性の類似性や相違が、結婚生活の満足度にどのように影響するかを調査した研究。
    • 必ずしも性格が似ている夫婦の方が幸福度が高いわけではなく性格特性によっては、夫婦間の相違が大きい方が満足度が高い場合もあることが示唆されている。例えば、支配性などの特性においては、一方が支配的で他方が服従的な方が、関係が円滑に進む可能性がある。
  • Lavner, J. A., & Bradbury, T. N. (2010). Patterns of change in marital satisfaction over the newlywed years. Journal of Marriage and Family, 72(5), 1171-1187.
    • 新婚夫婦の結婚満足度の変化のパターンを調査した研究。結婚後4年間追跡調査した。
    • 結婚満足度の変化には複数のパターンがあり、一部のカップルでは満足度が維持または向上する一方で、他のカップルでは時間とともに低下することが示された。
      • 安定型高群: 結婚当初から満足度が高く、4年間を通して高い満足度を維持するグループ (68%)
      • 下降型: 結婚当初は満足度が高いものの、4年間で徐々に低下していくグループ (19%)
      • 安定型低群: 結婚当初から満足度が低く、4年間を通して低い満足度が持続するグループ (8%)
      • 上昇型: 結婚当初は満足度が低いものの、4年間で徐々に上昇していくグループ (5%)
    • 大多数のカップルは、結婚当初の高い満足度を維持できることが判明した。2割のカップルは満足度が低下する。
    • また、コミュニケーションスキル、紛争解決能力、ストレス対処能力などが、結婚満足度の変化に影響を与える要因として特定されている。
  • Birditt, K. S., Brown, E., Orbuch, T. L., & McIlvane, J. M. (2010). Marital conflict behaviors and implications for divorce over 16 years. Journal of Marriage and Family, 72(5), 1188-1204.
    • 長期的な夫婦関係における葛藤行動と離婚の関係を調査した研究。
    • 夫婦間の葛藤の頻度だけでなく、葛藤への対処の仕方が重要であり、破壊的な葛藤行動(例:非難、侮辱) は離婚のリスクを高め、建設的な葛藤行動(例:話し合い、妥協) は離婚のリスクを低減することが示された。
  • Stanley, S. M., Rhoades, G. K., & Markman, H. J. (2006). Sliding vs. deciding: Inertia and the premarital cohabitation effect. Family Relations, 55(4), 499-509.
    • 結婚前の同棲が、その後の結婚生活の満足度や安定性に与える影響を調査した研究。
    • 明確な意思決定を伴わずに同棲を開始した場合(”Sliding”)、結婚後に問題が生じるリスクが高まることが示唆されています。一方、十分に話し合った上で同棲を決めた場合(”Deciding”)は、そのようなリスクは低いことが示されている。

関連する学術研究

  • Kahneman & Krueger (2006)
    • “Developments in the Measurement of Subjective Well-Being”
    • アメリカの時間利用調査データを用い、人々の活動と幸福度の関係を分析。
    • 配偶者との時間、特に一緒に食事をすることは、幸福度を高める効果があることを示唆。
    • 日常生活における具体的な活動と幸福度の関連性を分析した研究として有名
  • Helliwell & Putnam (2004)
    • “The Social Context of Well-Being”
    • 世界価値観調査データを用い、社会関係資本と幸福度の関係を分析。結婚は社会関係資本を高め、それが幸福度にもつながることを示唆。
  • 慶應義塾大学 坂本寧教授らの研究
    • 夫婦間のコミュニケーションの重要性を、日本の夫婦を対象に実証的に示した研究。
    • 夫婦の会話時間と幸福度の関係を調査。会話時間が長い夫婦ほど、幸福度が高い傾向が見られる。特に、妻の幸福度は、夫との会話時間に強く影響されることを示唆した。
  • 早稲田大学 野口晴子教授らの研究
    • 夫婦の家事分担と幸福度の関係を調査。
    • 家事分担が公平だと感じる夫婦ほど、幸福度が高い傾向が見られる。
    • 特に、妻が家事の負担感を強く感じている場合、夫婦関係の満足度や幸福度が低下する傾向があることを示唆した。

シニア世代の幸福は夫婦関係が中心となるとする学術研究

代表的な学術研究

  • “Contexts of Social Relations: An Integrative Analysis of Couple Similarity and Well-Being” (Gorchoff, S. M., John, O. P., & Helson, R. 2008)
    • 中年期から老年期にかけての夫婦を対象に、夫婦関係、性格の類似性、および幸福度の関連を長期的に追跡調査。
    • 子育て期が終了した後、夫婦は再び関係性を深め、親密さが増す傾向にあることを示した。また、夫婦の性格的な類似性、特に開放性誠実性の類似は、長期的な関係満足度と幸福度に寄与することが示唆された。夫婦関係の質は、老年期の精神的健康や幸福感に大きな影響を与えることが確認された。
  • “Marital Status, Marital Transitions, and Health: A National Longitudinal Study of Older Adults.” (Li, Hong, & Ferraro, Kenneth. 2005)
    • 高齢者を対象にした全国縦断研究で、婚姻状態、結婚の変化(離婚、死別、再婚など)、そして健康状態の関連性を調査。
    • 婚姻状態が健康に影響を与えることが示された。特に、安定した結婚生活は、高齢期の健康状態にプラスの影響を与えることが示唆された。
    • 離婚や死別は健康リスクを高める可能性がある一方、再婚は、特に男性において、健康状態の改善に繋がる可能性があることが報告された。
  • “When Spouses Get Sick: Health Shocks and Marital Satisfaction in Late Middle Age.” (Van Houtven, Courtney Harold, Coe, Norma, & Skira, Meghan. 2013)
    • 中高年の夫婦を対象に、病気などの健康問題が夫婦関係の満足度に与える影響を調査。
    • 配偶者の健康問題は、特に女性において、夫婦関係の満足度を低下させる可能性があることを示した。介護の負担やストレスが、夫婦関係に悪影響を与える可能性が示唆された。

関連する学術研究

  • 内閣府「高齢者の経済生活に関する意識調査」:
    • 日本の高齢者を対象に、生活意識や経済状況を調査。
    • 高齢期における生活の満足度や生きがいに「配偶者やパートナー」を挙げる人が多く、特に女性でその傾向が強い。
    • 子育て期を終え、夫婦二人の時間が増えることで、夫婦関係が幸福感に与える影響が大きくなることが示唆される。
  • 明治安田生活福祉研究所「高齢期の暮らし方に関する調査」:
    • 高齢者の生活実態や意識を調査。
    • シニア世代の幸福感には、配偶者との関係性、健康状態、経済状況などが影響する。特に、配偶者との関係が良好であることは、精神的な安定や幸福感に繋がる。
  • ソニー生命保険株式会社「シニアの生活意識調査」:
    • 全国のシニア男女を対象に、生活意識や価値観を調査。
    • 結論: シニア世代にとっての生きがいは「健康」「家族」「趣味」などが上位に挙げられるが、配偶者との良好な関係は、これらの要素を支える基盤となっている。

理想の夫婦関係が価値観や自己実現にシフトしているとの学術研究

代表的な学術研究

  • 結婚観の変化に関する調査研究
    • 内閣府「少子化社会対策に関する調査」:
    • 少子化対策の基礎資料とするため、結婚や家族に関する意識を調査。
    • 近年、結婚相手に求める条件として、「経済力」よりも「価値観が合うこと」「一緒にいて楽しい・安らげる」といった内面的な要素を重視する傾向が強まっている。特に若年層でその傾向が顕著。
  • 明治安田生活福祉研究所「結婚・出産に関する調査」:
    • 結婚や出産に関する意識や実態を調査。
    • 結婚のメリットとして「精神的な安らぎ」「愛情」を挙げる人が多く、「経済的な安定」を上回る傾向。また、結婚相手に求めるものとして、「自己実現への理解・協力」を重視する人が増加している。
  • 国立社会保障・人口問題研究所「出生動向基本調査」:
    • 結婚、夫婦、出生に関する全国調査。
    • 近年、結婚の動機として「愛情」を挙げる人が増加傾向。また、夫婦の役割分担について、「夫婦が協力して家事・育児を行う」という意識が強まっている。
  • 自己実現と結婚の関係に関する研究
    • 落合恵美子 (2006) 『21世紀家族へ』:
    • 家族社会学の視点から、現代日本の家族の変容を分析。
    • 近代家族から現代家族への移行において、個人の自立と自己実現が重視されるようになったと指摘。結婚は、自己実現を達成するための手段の一つとして捉えられるようになっていると論じている。
  • 山田昌弘 (2004) 『希望格差社会』:
    • 現代日本の社会格差と若者の意識を分析。
    • 若者の間で、自己実現への欲求が高まっている一方で、経済的な不安などから結婚に踏み切れない現状を指摘。結婚は、自己実現を妨げるリスクと見なされる場合もあると論じている。
  • The Second Shift: Working Families and the Revolution at Home (by Arlie Hochschild):
    • アメリカの共働き夫婦を対象に、家庭内での家事・育児の分担と夫婦関係への影響を調査
    • 妻が外で働くことに対して、夫が自身のキャリアに悪影響が出ると感じるなど、自己実現に関連した意識のズレが夫婦関係に摩擦を生むケースがあることを示唆している。
  • 世界価値観調査 (World Values Survey):
    • 世界各国の人々の価値観や意識を調査する国際比較調査。
    • 日本を含む多くの先進国で、結婚に対する考え方が「伝統的」なものから「個人主義的」なものへと変化していることが示されている。
    • これは、結婚を個人の幸福や自己実現の手段として捉える傾向が強まっていることを示唆している。

パートナーが最良の友人である場合に幸福度が向上するとする学術研究

代表的な学術研究

  • .アメリカ世論研究所(American Enterprise Institute)の調査(2021年)
    • American Perspectives Survey, May 2021
    • 配偶者やパートナーを親友と考えるアメリカ人は、そうでない人に比べて、人生に「完全に満足している」と回答する割合が2倍以上高い(40%対18%)。また、親友がいる人は、親友がいない人に比べて、孤独を感じる頻度が少ない。
  • 2. ギャラップ社(Gallup)の調査(2004年~2006年)
    • Gallup World Poll
    • 132カ国を対象とした調査で、結婚している人は、結婚していない人に比べて人生の満足度が高い傾向にある。
    • 特に、配偶者を「パートナー」であり「最良の友人」と表現した人は、人生の満足度が最も高い。この関係は、所得、年齢、教育、宗教、民族といった他の要因を考慮しても維持される。
  • 3. ブリガムヤング大学(Brigham Young University)とノースカロライナ州立大学(North Carolina State University)の研究(2012年)
    • Social Relationships and Physiological Determinants of Longevity Across the Human Life Span
    • 親密な人間関係(特に親友を持つこと)は、生存率に大きな影響を与える。社会的つながりが強い人は、社会的つながりが弱い人に比べて、死亡リスクが50%低い。この効果は、喫煙やアルコール摂取などの健康行動よりも強い影響力を持っている。

夫婦関係とうつ病の関連に対する学術研究

代表的な学術研究

  • Karney, B. R., & Bradbury, T. N. (1995). The longitudinal course of marital quality and stability: A review of theory, method, and research. Psychological bulletin, 118(1), 3.
    • 縦断研究のレビューから、結婚初期の満足度は時間とともに低下する傾向があり、特にストレスフルなライフイベントは夫婦関係に大きな悪影響を与える。夫婦間のコミュニケーションパターンを変化させ、ネガティブな相互作用を増やすことで、満足度の低下に繋がる
    • ストレスフルなライフイベントとして、失業・転職、収入の減少、予期せぬ出費、 第一子の誕生、 育児ストレス、子どもの問題行動、 本人またはパートナーの病気・怪我、慢性的な健康問題、 転居・引っ越し、住宅購入とローン、親の介護、 親族とのトラブル、 親や近親者の死、過重労働・長時間労働、 職場の人間関係のトラブル、 仕事上の失敗・挫折、 自分自身の目標達成の失敗・挫折などがあげられる。
    • 夫婦間のサポート不足や効果的な問題解決能力の欠如は、ストレスフルな出来事に直面した際に、夫婦関係の悪化と幸福感の著しい低下を引き起こす。
  • Whisman, M. A. (2001). The association between depression and marital dissatisfaction. In S. R. H. Beach (Ed.), Marital and family processes in depression: A scientific foundation for clinical practice (pp. 3-24). American Psychological Association.
    • 夫婦間の不満は、うつ病の発症リスクを高め、うつ病の経過を悪化させることが示されている。
    • また、うつ病が夫婦関係の不満を引き起こすという双方向の関連性も指摘されている。
  • O’Leary, K. D., Christian, J. L., & Mendell, N. R. (1994). A closer look at cohabitation. Journal of Marriage and the Family, 56(1), 199-212.
    • この研究は、夫婦間の暴力や葛藤が、うつ病のリスクを高めることを示している。
    • 身体的、精神的な暴力は、被害者の精神的健康に深刻な影響を与え、うつ病や不安障害などのリスクを著しく高める。
  • Beach, S. R., Sandeen, E. E., & O’Leary, K. D. (1990). Depression in marriage: A model for etiology and treatment. Guilford Press.
    • 夫婦関係の問題がうつ病の重要な要因となることを示すモデルを提唱している。
    • 夫婦間の葛藤、コミュニケーション不足、サポートの欠如などが、うつ病の発症や持続に影響を与えることが指摘されている。
    • 夫婦療法がうつ病の治療に効果的である可能性が示唆されている。
  • Pruchno, R. A., Burant, C. J., & Peters, N. D. (1997). Understanding the well-being of care receivers. The Gerontologist, 37(1), 102-109.
    • 高齢者を介護する配偶者を対象にした調査により、介護者の負担感や夫婦間の葛藤が、介護を受ける側のうつ症状と関連していることが示された。
    • 夫婦関係の問題は、介護を受ける側の精神的健康にも影響を与えることが示唆されている。
  • Kiecolt-Glaser, J. K., & Newton, T. L. (2001). Marriage and health: His and hers. Psychological Bulletin, 127(4), 472.
    • 夫婦関係と健康に関する研究をレビューし、夫婦関係の質が、身体的健康と精神的健康の両方に影響を与えることを示している。
    • 結論: 夫婦関係のストレスは、免疫機能の低下や心血管疾患のリスク増加など、身体的健康にも悪影響を及ぼすことが指摘されている。特に、敵対的なコミュニケーションスタイルは、うつ病や不安障害のリスクを高めることが示されている。

生涯で離婚を経験する人の割合の学術解説

推計方法について

  • 年齢別有配偶離婚率を基にした推計方法
    • 各年齢階級(例:20-24歳、25-29歳…)の有配偶離婚率を合計し、5倍する(年齢階級の幅を考慮)
      • 日本のデータを用いた推計 (2020年):各年齢階級(15~19歳、20~24歳、25~29歳…)の有配偶離婚率を「人口動態調査」から取得。
      • 次に各年齢階級の有配偶離婚率を「国勢調査」から取得し、最後にそれらの値を掛け合わせる。
      • 各年齢階級の算出された値を合計する。
    • 推計結果:
      • 約30~35%
  • 離婚率と平均婚姻継続期間からの推計する方法
    • 計算式:生涯離婚率 = 1 – exp(-離婚率 × 平均婚姻継続期間)
      • 日本のデータを用いた推計 (2020年):離婚率: 1.57‰ (人口千対、2020年人口動態調査) = 0.00157、平均婚姻継続期間: 25年(仮定)として計算
      • 計算:生涯離婚率 = 1 – exp(-0.00157 × 25) ≈ 0.0385
    • 推計結果:
      • 約38.5%

離婚率の推計値

日本の生涯離婚率を正確に算出することは困難ですが、様々な推計方法を用いた結果から、おおよそ30~40%程度と推測されます。ただし、これらの推計はあくまでも近似値であり、将来の変化や未婚化の影響などを考慮する必要があります。

なお、「3組に1組は離婚する」という言説: これは、近年の婚姻件数と離婚件数を比較したものであり、生涯離婚率を正確に表しているわけではありませんが、簡便な指標としてよく用いられます。計算結果は、あながち間違いとは言えないようです。

厚生労働省の「人口動態調査」の結果

離婚に繋がる夫婦関係の学術研究

代表的な学術研究

  • Gottman, J. M., & Levenson, R. W. (1992). Marital processes predictive of later dissolution: behavior, physiology, and health. Journal of personality and social psychology, 63(2), 221.
    • 夫婦間のコミュニケーションパターンを分析し、「批判」「軽蔑」「自己弁護」「回避」といったネガティブなコミュニケーションは離婚を予測する要因となることを明らかにした。これらのパターンは「黙示録の四騎士」と呼ばれ、夫婦関係悪化のサインとして広く知られる。
    • Gottman & Levenson (1992)の研究では、夫婦のコミュニケーションパターンを分析することで、93.6%の精度で離婚を予測できるとした
      • 離婚したカップル: 87%のカップルが「nonregulated couples」(ネガティブなコミュニケーションパターンが多い)に分類されていた。
      • 離婚しなかったカップル: 94%のカップルが「regulated couples」(建設的なコミュニケーションパターンが多い)に分類されていた。
    • 建設的なコミュニケーションとは、穏やかな話し方、相手の意見に耳を傾ける、自分の気持ちを率直に伝える、 共感する、妥協点を探す、感謝の気持ちを伝える、ポジティブな言葉を使う、非言語的なコミュニケーションを取れる(笑顔、目を合わせる、スキンシップ)などである。
    • 「軽蔑」の感情を表す行動が見られる場合は、関係修復が非常に難しい。
  • Amato, P. R., & Rogers, S. J. (1997). A longitudinal study of marital problems and subsequent divorce. Journal of Marriage and the Family, 59(3), 612-624.
    • 夫婦間の問題(例えば、コミュニケーション不足、性格の不一致、浮気、経済的な問題など)と離婚との関連性を longitudinal に調査した。
    • 結果として、夫婦間の問題を抱えているカップルは、そうでないカップルに比べて離婚する可能性が高いことが判明した。
    • 夫婦間の問題(コミュニケーション不足、性格の不一致、浮気など)を抱えている期間が長くなるほど、離婚率が高くなることが示された。
  • Previti, D., & Amato, P. R. (2003). Why stay married? Rewards, barriers, and marital stability. Journal of Marriage and Family, 65(4), 802-812.
    • 結婚生活を継続させる要因(子供、宗教、経済的安定など)と、離婚を阻害する要因(社会的スティグマ、経済的損失、子供の親権問題など)を分析した。
    • 結婚生活を継続させる要因が多いほど、離婚率は低い傾向が見られた。
  • Stanley, S. M., Whitton, S. W., Sadberry, S. L., Clements, M. L., & Markman, H. J. (2006). Premarital education, marital quality, and marital stability: Findings from a large, randomized, clinical trial. Journal of Family Psychology, 20(1), 117.
    • 結婚前教育が結婚の質と安定性に与える影響を調査した。結婚前教育とは、教会や自治体、結婚相談所などで実施されている。近年ではオンラインで受講できるプログラムも増えている。
    • 結婚前教育には、コミュニケーションスキル、紛争解決スキル、役割分担、家計の管理、子育て、セックス、家族関係が含まれる。
    • 結婚前教育を受けたカップルは、そうでないカップルに比べて、結婚満足度が高く、離婚率が低いことが示された。
  • Johnson, C. L. (1982). Risk factors for divorce. Journal of Family Issues, 3(1), 53-65.
    • この研究では、結婚期間が短い、年齢が若い、教育レベルが低い、結婚前に同棲していたなどの要因が離婚のリスクを高めることが示された。
      • 人口統計学的要因(若年結婚、短い結婚期間、再婚カップルなど)
      • 社会経済的要因(低い教育レベル、低収入、女性就労(経済的自立)など)
      • 結婚前の状況(結婚前の同棲、婚前妊娠など)
      • 家族背景(親の離婚など)関連する学術研究

関連する学術研究

  • 夫婦関係満足度と離婚に関する全国調査(国立社会保障・人口問題研究所)
    • 全国規模のアンケート調査
    • 夫婦関係の満足度が低いほど、離婚リスクが高くなる。コミュニケーション不足、性格の不一致、経済的問題、価値観の違いなどが離婚リスクを高める要因として挙げられる。
    • 子どもの存在は、離婚リスクを低下させる傾向があるが、子どもの年齢や人数によってその効果は異なる。
  • 離婚原因に関する調査(司法統計年報)
    • 調査目的は、離婚調停や訴訟で申し立てられた離婚原因を集計・分析すること裁判所に提出された調停・訴訟の記録に基づく統計調査である。
    • 長年にわたり「性格の不一致」が最も多い離婚原因となっている。その他、「異性関係」、「暴力を振るう」、「精神的に虐待する」、「生活費を渡さない」などが上位に挙げられる。
    • 近年では「モラルハラスメント」など、精神的な虐待に関する申し立てが増加傾向にある。

離婚した後の幸福度についての学術研究

代表的な学術研究

  • 離婚後のウェルビーイングに関する研究 (Mavis Hetheringtonの研究)
    • 研究目的は離婚が子どもや大人に与える長期的な影響を調査すること
    • 1400組の離婚家庭と700組の未婚家庭、約2500人の子どもを対象とした、30年以上にわたる縦断研究(インタビュー、観察、心理テストなど)
    • 離婚後の適応パターン: Hetherington博士は、離婚後の適応パターンを6つのタイプに分類た。
      • Enhancers (向上者): 離婚をきっかけに、自己成長を遂げ、より充実した人生を送るタイプ。約20%がこのタイプに該当し、特に女性に多い。
      • Goodenoughs (十分な適応者): 離婚後も比較的安定した生活を送り、新たなパートナーを見つける人も多い。最も一般的なタイプで、約50%が該当。
      • Seekers (探求者): 離婚後すぐに新しいパートナーを求めるタイプ。
      • Libertines (自由人): 一時的に自由な生活を楽しむタイプ。
      • Competent Loners (有能な独身者): 独身生活を謳歌し、充実した人生を送るタイプ。
      • Defeateds (敗北者): 離婚によって、精神的、経済的に落ち込み、長期間にわたって苦しむタイプ。約10%がこのタイプに該当し、特に男性に多い。
    • 得られた研究成果(一部抜粋)は以下の取り
      • 離婚は必ずしも悲劇ではない: 離婚を経験した人の約75-80%は、長期的にはうまく適応し、幸福感や生活満足度が向上していることが示された。
      • 離婚によって幸福度が向上するグループ: 特に、高コンフリクト(争いの多い)な結婚生活を送っていた人は、離婚後にストレスが軽減され、幸福度が向上する傾向が見られた。
      • 離婚は新たな可能性を開く: 離婚を経験した人は、新しいパートナーとの出会いや、キャリアの再構築などを通じて、人生の新たな可能性を見出すことができる。
      • 子供への影響は一様ではない: 離婚は子供に様々な影響を与えるが、その影響は子供の年齢、性格、離婚前の家庭環境、離婚後の親の養育態度などによって異なる。多くの子供は、離婚後2年以内に適応する。
      • 再婚の影響: 再婚家庭は、初婚家庭とは異なる課題に直面することが多いものの、多くの再婚家庭はうまく機能している
  • 離婚後の生活満足度に関する研究 (Paul R. Amatoの研究)
    • 調査目的は、離婚が大人や子どもに与える影響を調査すること。複数の先行研究のメタ分析を含む、様々な研究手法により調査。
    • 得られた研究成果(一部抜粋)は以下の取り
      • 離婚は幸福度を高める場合がある: 特に、不幸せな結婚生活を送っていた人や、ドメスティックバイオレンス(DV)の被害者は、離婚によって幸福度や生活満足度が向上する可能性がある。
      • 離婚後の適応は個人差が大きい: 離婚後の適応には個人差があり、経済状況、社会的サポート、性格特性などが影響する。
  • 日本における離婚と幸福度に関する研究 (中里ら, 2014)
    • 中里 英樹 (甲南大学), 他により行われた調査。日本における離婚経験者の幸福度を調査し、離婚が幸福度に与える影響を明らかにすること。10,000人以上を対象としたインターネット調査。
    • 得られた研究成果(一部抜粋)は以下の取り
      • 離婚経験者は未婚者より幸福度が低い: ただし、この結果は離婚が幸福度を下げたことを意味するわけではなく、もともと幸福度が低い人が離婚しやすい可能性も示唆される。
      • 時間経過とともに幸福度に差はなくなる: 離婚直後は幸福度が低いが、時間の経過とともに未婚者との差は縮小する。
      • 不仲な夫婦関係を続けた人は幸福度が低い: 夫婦関係が不仲であった場合、離婚を経験していない人の方が、離婚経験者よりも幸福度が低いことが示された。

夫婦の良くない関係が子供に与える影響を示す学術研究

代表的な学術研究

  • Cummings, E. M., & Davies, P. (1994). Children and marital conflict: The impact of family dispute and resolution. Guilford Press.
    • 夫婦間の葛藤が、子供の情緒的な安定性や社会性に悪影響を与えることを示した研究。
    • 子供は夫婦喧嘩を目撃することで、不安や恐怖を感じ、情緒不安定になったり、対人関係に問題を抱えやすくなる可能性が指摘されている。
  • Harold, G. T., & Conger, R. D. (1997). Marital conflict and adolescent distress: The role of adolescent awareness. Child development, 68(1), 31-44.
    • 夫婦間の葛藤を子供が認識している場合、子供はより強いストレスを感じ、抑うつや不安、非行などの問題行動を起こしやすくなるという研究。
    • 特に、青年期においては、夫婦間の葛藤に対する感受性が高く、影響を受けやすいことが示唆されている。
  • Amato, P. R., & Booth, A. (1997). A generation at risk: Growing up in an era of family upheaval. Harvard University Press.
    • 離婚や別居を経験した子供は、そうでない子供に比べて、学業不振、情緒不安定、対人関係の困難などを経験するリスクが高いという研究。
    • 夫婦間の不和が深刻化し、離婚に至る過程で、子供は大きなストレスを受け、その影響が長期にわたる可能性が指摘されている。
  • Erel, O., & Burman, B. (1995). Interrelatedness of marital relations and parent-child relations: A meta-analytic review. Psychological bulletin, 118(1), 108.
    • 夫婦関係と親子関係は相互に影響し合うという研究。
    • 夫婦関係が良好な場合は、親子関係も良好になりやすく、子供の幸福度も高まる。逆に、夫婦関係が悪い場合は、親子関係にも悪影響を及ぼし、子供の幸福度を低下させる。

この記事に関するよくある質問

Q.ジョン・ゴットマン博士が提唱する、関係を破壊する『四騎士』の学術的データとは?
A.批判・防御・侮辱・逃避という4つのネガティブなコミュニケーション様式です。特に『侮辱』が頻出する場合、ゴットマンは90%以上の精度でそのカップルの離婚を予測しました。これらは関係を物理的に破壊する毒素として機能します。
Q.Stutzer & Freyらの長期追跡研究が示す『結婚のハネムーン効果』の持続期間は?
A.結婚直後に幸福度は急上昇しますが、平均して約2年以内に元のベースライン(セットポイント)へ回帰するというデータです。この適応の速さを理解し、情熱から『最高の友人としてのパートナーシップ』へ移行することが、シニア世代の幸福を左右します。
Q.Mavis Hetheringtonの研究が明かす、離婚後の幸福度の『適応パターン』とは?
A.離婚後、幸福度が向上する『エンハンサー(強化者)』から、同じ失敗を繰り返す『シーカー(探求者)』まで6つの典型的な適応類型があります。離婚そのものが不幸なのではなく、その後のレジリエンス(自己実現への意欲)が将来のQOLを決定づけます。
シェアする