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6.幸福に向かう意思決定

🔒 【受動的利用】見るだけのSNSは不幸になる。脳の「羨望」を抑え、居場所を作る技術

この記事では、SNSと幸福度との関係、あるいはSNS依存になる人のタイプ、上手な付き合い方について解説します。この記事では、オンラインゲームと幸福度との関係、数多くのメリット、あるいはゲーム依存になる人のタイプ、上手な付き合い方について解説します。 この記事では、コミュニティの主催や参加がもたらす幸福度やストレスについて解説します。

他者との関り方 他者との繋がり(SNSオンラインゲーム、コミュニティ)

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他者との関り方 他者との繋がり(SNS、オンラインゲーム、コミュニティ)(重要度★★★:MAX)

本記事では、上記の『他者との関り方 他者との繋がり(SNS、オンラインゲーム、コミュニティ)』について、学術的な視点から解説を加えます。より踏み込んだ専門的な内容については、記事内のリンクから詳細記事をご覧いただけます。

この記事の要約

【ここを開く】
  • SNSの受動的利用や過度なオンラインゲームへの依存は、幸福度と自己肯定感を低下させるため、能動的に利用目的を定める必要があります。
  • オンラインゲームやコミュニティは、現実の人間関係を強化し、有能感や自律性を満たす場合にのみ、長期的な幸福度向上に貢献します。
  • 人間関係のトラブルやストレスが増加するコミュニティからは速やかに距離を置き、自分が中心になって他者の世話を焼く「ハブ」になることが幸福の秘訣です。

問題提起・結論・理由

【ここを開く】

問題提起
現代社会において、SNSやオンラインゲームは、私たちの生活に深く浸透しています。しかし、これらのツールは、私たちの幸福にどのような影響を与えているのでしょうか? SNSでの「いいね!」の数や、ゲームでの勝利は、本当に私たちを幸せにしているのでしょうか?
結論
SNSやオンラインゲームは、使い方によっては幸福感を高めることもできますが、過度な利用や依存は、かえって幸福度を低下させ、心身の健康を損なう可能性もあります。
理由
SNSの受動的な利用は、孤独感や羨望を増幅させ、幸福度を低下させます。また、オンラインゲームは、一時的な快楽をもたらす一方で、依存症のリスクがあり、現実世界の生活に悪影響を及ぼす可能性があります。しかし、SNSを能動的に活用したり、オンラインゲームを適度に楽しむ分には、幸福度を高める効果も期待できます。

科学的根拠も用いて詳しく解説します。

人間関係の繋がり

私たちの人間関係は、SNSやオンラインゲーム、様々なコミュニティの登場によって、かつてないほど多様化し、複雑になりました。いつでも、どこでも、誰とでも繋がれる。そんな時代に、私たちは生きています。

しかし、これらの新しい「繋がり」は、本当に私たちの幸福に貢献しているのでしょうか?手軽な繋がりの裏側で、新たな孤独や嫉妬、依存といった問題が生まれているのも事実です。

この記事では、SNS、オンラインゲーム、そしてリアルなコミュニティという3つのテーマを取り上げ、それぞれが持つ光と影を学術的な視点から深く探求します。デジタルとリアルの人間関係が複雑に絡み合う現代で、賢明に幸福を追求するための羅針盤となることを目指します。

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ゲームやSNSの利用

SNSの場合

SNSを多用する人の特徴

一般的に、SNSを多用し大量の時間を費やしている人は、自己肯定感が低く、かつ、寂しがり屋な人が多いと言われます。いわゆる承認欲求の強い人です。逆にSNSを気にせずリアルな友人関係を重視する人は、自己肯定感が強く他人の評価を気にしない人間であると言われています。

自己肯定感が低く寂しがり屋の人は、SNSで心の隙間を埋めようとしますが、一向に深まらない浅い人間関係には更なる不満を感じることになります。つまり、悪循環に陥ることが認められています。

SNSを利用する人の特徴に関する学術研究はこちらをクリック

そのような特性を有する人にとっては、利用方法を工夫する必要があります。むしろ、SNSから距離を置くことが重要かも知れません。SNSの利用を控えることは、生活満足度とポジティブな感情が高まることが、各種実験で確認されています。

受動的な利用をしない

利用形態 具体的行動 主な心理的帰結
能動的利用 積極的な自己開示、既存の知人との交流強化 社会的つながりの深化、主観的幸福度の向上
受動的利用 他者の投稿の閲覧、反応のない消費行動 羨望、孤独感の増幅、自己肯定感の低下

SNSの友人の数が多いだけでは、幸福度は必ずしも高まらないという研究も多くあります。重要なのは、実際に交流があり、支え合える質の高い関係を持つことです。そのような関係を持つためには、ある程度積極的に自己開示をすることが不可欠でしょう。自己開示ができる人にとっては、SNSによる幸福度はプラスに働くとの調査結果も複数あります。

SNSの利用頻度や友人の数と幸福度に関する学術研究はこちらをクリック

Facebookを通じて、古い友人と再会したり、新しい友人を作ったりすることで、幸福度が高まります。結局のところ、SNSの利用は、現実の社会的なつながりを強化する場合にのみ、幸福度を高める可能性があると言うことになります。つまり能動的で実用的であることが幸せをもたらす条件となります。

逆に、SNSをただ眺めているだけの受動的な利用は、羨望や孤独感を増幅させ、幸福度を低下させます。受動的なSNSの利用の仕方だけであるならば、その時間を少なくすることが重要です。

SNSの利用が幸福に寄与する場合についての学術研究

幸福競争を避ける

SNSの問題は、深いつながりのない人間関係の中で幸福競争をすることになる点にあります。つまり本来は非地位財比較しないで幸せを感じる財)の利点があるのに、それを打ち消して、敢えて、地位財化(比較することで幸不幸を測る財)させていることになります。その意味では、地位財と同様に人を不幸にする本質を有しているのです。

幸福競争は、嫉妬心や競争心を単に拡散させるだけではありません。SNSの中には現実世界の誇張や欺瞞が必ず含まれます。というより、誇張や欺瞞のかたまりです。そのことで、競争を仕掛けている本人にも悪影響を与え続けます。つまり仕掛けている本人も、現実はそんなに幸福ではないのに・・・」と常に感じ続けさせられるということです。友達にとっても自分にとっても、そのような使い方をしないように工夫することが求められるでしょう。

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オンラインゲームの場合

幸福には寄与、あるいは中立

オンラインゲームについても沢山の研究が積み重ねられています。しかし、オンラインゲームと幸福度の関係は非常に複雑で、一概に断言できません。費やす時間と幸福度の関係については中立であるとする研究と、費やす時間が多ければ多いほど幸福度は増すという研究が両方とも多く存在します。

SNSの利用とは対照的に、オンラインゲームにより幸福度が増すという学術研究が多いのには理由があります。そもそも、ゲームのプレイは、有能感自律性関係性という3つの基本的な心理的欲求を満たすために行われるからです。ゲームの中で、自己実現、社会とのつながり、有能感や自律性の感覚などを得ることができます。

なお、ゲームをする人の性格も幸福度に関係します。社会に不安が無い人、つまりそもそも幸福な人はゲームをすることで更に幸福になれます。その一方で社会に不安が高い人は、限定的と言う研究があります。

オンラインゲームと幸福度との関連についての学術研究はこちらをクリック

しかし、オンラインゲームは、刺激が日常性を超えて非常に強い分だけ注意が必要です。オンラインゲームに長時間費やすと、例えば勉強や仕事時間に影響したり、家族や友人との関係が希薄になるなど、生活の質が悪化するという傾向が認められます。従って、オンラインゲームは、短期的には幸福度を向上させる効果があることは事実ですが、過剰に費やすと、生活の満足度を含む、長期的な幸福度に大きな影響を与えてしまう可能性があります。

深刻な依存症状

オンラインゲームの問題は、生活の質への影響だけではありません。最も重大な問題は依存(中毒)症状との関連です。オンラインゲームにのめり込むことで、脳の報酬系が過剰に刺激され、ドーパミンが大量に分泌されます。このドーパミンの作用により、快感や興奮を感じ、さらにゲームを続けるようになります。このメカニズムは、薬物依存と類似していると言われています。

オンラインゲームだけではないのですが、そもそもSNS等を含むインターネット依存症の疑いのある人は、日本だけで約150万人もいると推定されています。想像をはるかに超える物凄い数となります。

  • 正確には厚生労働省の調査「平成29年度 厚生労働省 精神・障害保健課 インターネット依存を含むメディア・リテラシー向上に関する調査研究」によると、病的なインターネット依存が疑われる人は全国で約93万人(成人)、それとは別に中高生におけるインターネット依存が疑われる生徒は約51万人と推定された。

ゲーム依存では、 ゲームのプレイ時間をコントロールできない、 日常生活よりもゲームを優先する、 問題が起こってもゲームを続ける、 ゲームをやめると離脱症状が出る(イライラ、不安、抑うつなど)などの症状が生じます。ゲーム依存症の人は、そうでない人に比べて、うつ病や不安障害などの精神疾患を併発するリスクが高いことも判明しています。

依存症になる人の特徴

要因分類 具体的内容 心理的予後・リスク
性格特性因子 神経症傾向、低自尊心、高い衝動性、完璧主義 報酬系への過剰刺激による離脱症状、精神疾患併発
属性・環境因子 男性、若年層、学業不振、家庭内紐帯の脆弱性 現実逃避の常態化、社会的生活の質の著しい悪化

世界各国の調査で、オンラインゲーム依存症になるタイプの人の特徴が調査されています。

オンラインゲームに依存、中毒症状を示す人には、いくつかの共通した特徴が見られます。オンラインゲーム依存症の人が、非依存症の人と比べて、神経症傾向が高い、自尊心が低い、衝動性が高い、外向性が低い、完璧主義傾向が強い等の傾向があることを明らかになりました。

関連する調査では、男性、若年者、低い社会経済的地位、学業不振、家族とのつながりの弱さ、心理社会的問題(例:攻撃性、ADHD症状、不安、抑うつ)といった点が挙げられます。また、現実逃避や気晴らしを目的としてゲームにのめり込む傾向があり、精神的な健康問題や、攻撃行動の増加といった問題とも関連していることが示されています。

このような性格を有する人は、依存症になりやすいことを自覚し、意識的に避ける必要があるでしょう。一方、このような特徴を有せず、バランスに自信がある人は、オンラインゲームを避ける必要は全くありません。生活の中に上手に取り入れれば、良い気分転換になり、必ずや幸福度は増すと思われます。

オンラインゲームの依存・中毒症状を示す人の特徴についての学術研究はこちらをクリック

オンラインゲームのメリット

その一方でオンラインゲームのメリットも調査されています。他者との協力や、自己実現、自律性の感覚をもたらすようなゲーム体験は、幸福感の向上に効果的であるばかりでなく、特にMMORPGなどの多人数参加型のゲームは、リーダーシップ、問題解決能力、コミュニケーション能力や協調性の育成に役立つ可能性があります。理由は、ゲーム内のコミュニティやチーム活動を通じて、リーダーとしての役割を経験したり、メンバーと協力して課題を解決したり、効果的にコミュニケーションを取ったりする機会を得ることができるからです。これらの経験は、現実世界での社会生活においても役立つスキルを育むことにつながると考えられます。

また、オンラインゲームは、認知機能の維持・改善、さらには、ゲームの種類や個人の特性によっては、攻撃性の抑制にも寄与する可能性があります。また、アクションゲームや戦略ゲームなどは、認知機能を刺激し、高齢者の認知症予防や認知機能の維持にも役立つ可能性が示されています。

オンラインゲームには、これまでに挙げたように、幸福度の向上、認知機能の維持・改善、攻撃性の抑制だけでなく、社会的スキルの向上、教育・学習への応用、ストレス解消、新たな興味関心の発見、障がい者の支援など、非常に多面的なメリットがあると言えます。

オンラインゲームのメリットに関する学術研究はこちらをクリック

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コミュニティ、イベントの開催

多方面の友人を作れるメリット

一般的にコミュニティやイベントへの参加は、社会的なつながりや信頼感の増幅などが、幸福感と正の相関関係を示すことは、多くの研究で明らかになっています。特に高齢者は、生産的な活動(仕事、ボランティアなど)や社会的な活動(宗教活動、趣味のグループなど)への参加が、抑うつ症状の軽減と関連しています。

50代を過ぎると、仕事一辺倒から抜け出し地域や趣味などのコミュニティ等に参加した方が良いと言われます。特に、コミュニティにおける活動が自らの趣味や研究に直結し、そのメリットが感じられる場合には、幸福度が増すことは間違いないでしょう。会社組織以外のコミュニティと繋がっていることが、いざというときの孤独のリスクを軽減することも間違いがありません。

コミュニティへの参加が幸福感に与える影響についての学術研究はこちらをクリック

人間関係には注意

しかし、コミュニティにより、人間関係を増やした方が良いかそうでないかは、その人の性格や実現したい目標の有無等に大きく関係するため、一概には言えません。

コミュニティに参加することで幸福感と不幸感が併存する場合には、コミュニティーから早く抜け出した方が良い状況もあります。

親しい人々との間での葛藤や対立などのネガティブな経験は、ポジティブな経験よりも、心理的な苦痛や抑うつ症状と強く関連することが研究により明らかになっています。また、別の研究成果ですが、アンビバレントな(両面価値的な)人間関係、つまり支援的であると同時にストレスの原因ともなるような関係は、純粋に支援的な関係よりも、精神的健康に悪影響を及ぼすことが明らかになっています。このことから言えることは、通常の人間関係においては、幸福度とストレスを同時に感じるのが普通ですが、両者がある場合には、ストレスの影響の方が大きいので注意が必要ということです。

やりたくもないことに強制的に参加させられたり、人間関係のトラブルを抱えたりすることももちろんですが、参加することによってかえって孤立感や疎外感が高まるのであれば逆効果です。ストレスが軽減されるなら参加をし、ストレスが増加するなら参加しないのが鉄則です。

コミュニティへの参加が特定の人に不幸感を与えるとする学術研究についてはこちらをクリック

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この記事に関するよくある質問

Q.SNSを眺める時間が長くなるほど、なぜ孤独や抑うつ感が増大するのでしょうか?
A.ミシガン大学等の研究によれば、他者の演出された日常を『受動的に利用(見るだけ)』することが、脳内で『羨望(Envy)』という痛みの信号を発火させるからです。自分と他者を比較するバグが、自己肯定感を物理的に破壊します。
Q.オンラインゲームやデジタルツールを、『不幸の沼』ではなく『幸福の糧』にする技術は?
A.単なる消費(受動的利用)を卒業し、コミュニティへの貢献や技術の向上といった『有能感』を満たす使い方に切り替えることです。ゲーム内の繋がりであっても、能動的な関わりがあれば、それは確かなサードプレイスとして機能します。
Q.SNS疲れから脱却し、現実社会でのコントロール感を取り戻すための解決策は?
A.デジタルの受動利用を捨て、自分が主催者(ハブ)となって小さな勉強会やオフ会を開くなど、人間関係に自ら介入することです。他者をもてなし、貢献する立場に回ることで、脳は最も深い報酬(自己効力感)を得られるようになります。
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