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感情制御プロセスモデル

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領域: 心理学・行動経済学・社会学カテゴリー: 理論・概念同義語: グロスのモデル, 感情マネジメントモデル

要約

感情が「状況→注意→評価→反応」というプロセスで生まれると考え、その各段階における具体的な介入戦略を体系化した理論モデルである。

詳細解説

学術的・科学的定義

感情制御プロセスモデル(Process Model of Emotion Regulation)とは、ジェームズ・グロスが提唱した、感情を目的志向でマネジメントするための枠組みである。感情生成の時系列に沿って、(1)状況選択、(2)状況修正、(3)注意配分、(4)認知的変化、(5)反応変容、という5つの戦略に分類する。単に不快を抑えるだけでなく、ポジティブな感情を維持・増幅させる「能動的コントロール」を含むのが特徴である。

重要な構成要素・メカニズム

このモデルの核心は、介入のタイミングによる「コストと効果」の違いである。感情が生じる前の段階である(1)〜(4)は「先行要因焦点型戦略」と呼ばれ、心理的負担が少なく根本的な解決に繋がりやすい。対して、感情が生じた後の(5)は「反応焦点型戦略」と呼ばれ、表出抑制に伴うストレスや認知的リソースの浪費という代償を伴う。このプロセスを理解することは、認知行動療法(CBT)の実践的基盤となる。

科学化幸福論との関連性

本記事における文脈

「幸福への航海術」を具体化するための、戦略的マネジメント手法として紹介されている。感情に振り回されるのではなく、どの段階でブレーキを踏むか、あるいはアクセルを全開にするか(サヴォアリング等)を判断するための「操作マニュアル」として位置づけられている。

幸福への影響と実践活用法

このモデルを日常に適用することで、精神的レジリエンス能動的に高められる。活用法としては、苦手な場を避ける(状況選択)といった初動から、出来事の意味を書き換える「認知的再評価」までを状況に応じて使い分けることである。特に、身体への負荷が少ない先行要因焦点型を優先することで、貯水槽(心)が汚染される前に介入を完結させ、安定した幸福感(水質)を維持できるようになる。


References: Gross, J. J. (1998) "The emerging field of emotion regulation: An integrative review"
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