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[自己肯定感の分析と対策]についての網羅的な詳細解説(メイン記事へ)
記事に使用した各種の学術研究・論文(その21)(重要度★☆☆)
自己肯定感(ソシオメーター理論)と自己効力感(社会的認知理論)の学術的背景、ローゼンバーグ自尊感情尺度の質問項目・統計データ、および幸福・成功・パフォーマンスとの関連を示す主要な研究論文を網羅的に解説します。
自己肯定感についての学術研究
本記事(自己の個性を考える)では、自己肯定感と自己効力感の実践的な高め方について解説しました。
本学術詳細記事では、その背景にある心理学の理論的変遷、特に「自己肯定感はなぜ存在するのか(機能論)」や、アルバート・バンデューラが提唱した「自己効力感」が人間の行動変容にどう関わるのかについて、詳細な学術データと論文に基づいて解説します。
自己肯定感(Self-Esteem)の学術的系譜
ウィリアム・ジェームズからソシオメーター理論へ
心理学における自己肯定感の研究は、1890年のウィリアム・ジェームズに遡ります。彼は自己肯定感を「成功 ÷ 願望(pretensions)」という数式で定義しました。つまり、願望(高望み)を減らすか、成功を増やすことで自己肯定感は高まるという古典的なモデルです。
現代において注目されているのは、マーク・リアリーらが提唱した「ソシオメーター理論」です。この理論では、自己肯定感を「自分が他者からどれだけ受容されているか、あるいは拒絶されているかを検知する心理的な燃料計(メーター)」であると定義します。つまり、自己肯定感の低下は「社会的排除のリスク」を知らせる適応的なアラート機能であるという進化心理学的な解釈です。
Rosenberg Self-Esteem Scale (RSES) の詳細データ
本記事では触れられなかった、世界で最も使用されている「ローゼンバーグ自尊感情尺度」の具体的な質問項目と、統計的な基準値(平均・標準偏差)を以下に示します。これらは自己分析をより客観的に行うための重要なデータです。
質問項目と平均値(SD)
- 私は自分に満足している。2.41(SD=0.91)
- 私は自分がだめな人間だと忠う。(R) 2.73(SD=0.86)
- 私は自分には見どころがあると思う。2.67(SD=0.76)
- 私は,たいていの人がやれる程度には物事ができる。3.12(SD=0.72)
- 私には得意に思うことがない。(R) 3.09(SD=0.91)
- 私は自分が役立たずだと感じる。(R) 2.96(SD=0.89)
- 私は自分が,少なくとも他人と同じくらいの価値のある人間だと思う。3.10(SD=0.73)
- もう少し自分を尊敬できたらと思う。(R) 1.99(SD=0.94)
- 自分を失敗者だと思いがちである。(R) 2.78(SD=0.98)
- 私は自分に対して、前向きの態度をとっている。3.08(SD=0.84)
注) (R)は逆転項目(点数計算を逆にする項目)であることを示します。
相対的な評価基準(正規分布モデル)
- 非常に高い: 平均 + 2SD 以上 (偏差値70以上) 割合2.2%
- 高い: 平均 + 1SD 以上、平均 + 2SD 未満 (偏差値60以上70未満) 割合13.6%
- 比較的高い: 平均 + 0.5SD 以上、平均 + 1SD 未満 (偏差値55以上60未満) 割合14.9%
- 標準: 平均 – 0.5SD 以上、平均 + 0.5SD 未満 (偏差値45以上55未満) 割合34.1%
- 比較的低い: 平均 – 1SD 以上、平均 – 0.5SD 未満 (偏差値40以上45未満) 割合14.9%
- 低い: 平均 – 2SD 以上、平均 – 1SD 未満 (偏差値30以上40未満) 割合13.6%
- 非常に低い: 平均 – 2SD 未満 (偏差値30未満) 割合2.2%
自己肯定感と幸福度についての学術研究
代表的な学術研究
- Diener, E., & Diener, M. (1995). Cross-cultural correlates of life satisfaction and self-esteem. Journal of Personality and Social Psychology, 68(4), 653-663.
- Ryff, C. D. (1989). Happiness is everything, or is it? Explorations on the meaning of psychological well-being. Journal of Personality and Social Psychology, 57(6), 1069-1081.
- Lyubomirsky, S., & Ross, L. (1997). Hedonic consequences of social comparison: a contrast of happy and unhappy people. Journal of Personality and Social Psychology, 73(6), 1141-1157.
- Fava, G. A., Rafanelli, C., Cazzaro, M., Conti, S., & Grandi, S. (1998). Well-being therapy. A novel psychotherapeutic approach for residual symptoms of affective disorders. Psychological Medicine, 28(2), 475-480.
- 気分障害の患者を対象に、Well-being therapy(幸福感療法)という心理療法を実施した。
- Well-being therapyは、自己肯定感を含む心理的幸福感の6つの側面を高めることを目的とした介入である。
- Well-being therapyを受けた患者は、従来の治療を受けた患者と比較して、再発率が低く、幸福度が高いことが示された。
- 自己肯定感を高める介入は、幸福度を向上させ、精神疾患の再発予防に効果があると結論づけられた。
- Orth, U., Robins, R. W., & Widaman, K. F. (2012). Life-span development of self-esteem and its effects on important life outcomes. Journal of Personality and Social Psychology, 102(6), 1271-1288.
- 大規模な縦断データを用いて、青年期から老年期までの自己肯定感と主観的幸福感の発達的変化を検討。
- 自己肯定感と主観的幸福感は、相互に影響し合う双方向の関係性があることが示された。
- 自己肯定感が高いと、その後の主観的幸福感が高まるだけでなく、主観的幸福感が高いと、その後の自己肯定感も高まることが明らかになった。
- 自己肯定感と幸福感は、互いに影響し合いながら、時間とともに変化していくと結論づけられた。
[幸福のメカニズム]:自己肯定感が主観的幸福感と人生満足度に与える影響(メイン記事へ)
自己肯定感と成功についての学術研究
ニュージーランド・ダニーデン研究の衝撃
自己肯定感の重要性を語る上で欠かせないのが、ニュージーランドで行われている「ダニーデン・学際的健康発達研究」です。1972-73年生まれの1,000人以上を出生時から40年以上追跡するという、世界的に類を見ないこの大規模調査は、幼少期の「セルフコントロール(自己肯定感の基礎)」が、数十年後の年収、健康、犯罪歴までも予測するという衝撃的な事実を明らかにしました。
ダニーデン研究から派生した自己肯定感と特定の成功指標に関する学術研究(長期追跡調査)
- Poulton, R., Moffitt, T. E., & Silva, P. A. (2014). The Dunedin Multidisciplinary Health and Development Study: Overview of the first 40 years, with an eye to the future. Social Psychiatry and Psychiatric Epidemiology, 50(5), 679-693.
- (注: これは研究全体の概要論文であり、特定の自己肯定感と成功に関する論文ではありませんが、この研究から派生した多くの論文が存在します。)
- ニュージーランドのダニーデンで1972-1973年に生まれた1037人を対象に、出生時から40歳以上にわたって追跡調査を実施している。
- 幼少期の自己肯定感(自己制御、対人スキル、レジリエンスなどを含む広範な概念として測定)は、成人期の健康、経済状況、犯罪歴など、様々なアウトカムと関連していることが示された。
- 自己肯定感が低い子どもは、成人期に失業、経済的困難、精神疾患、犯罪行為などの問題を抱えるリスクが高いことが示された。
- 幼少期の自己肯定感は、教育、職業訓練、メンタルヘルスサポートなどの介入によって改善できる可能性があると結論づけられた。
- この研究から派生した具体的な論文では、自己肯定感と特定の成功指標(収入、職業的地位、人間関係の満足度など)との関連性が詳細に分析されている。
- Moffitt, T. E., Arseneault, L., Belsky, D., Dickson, N., Hancox, R. J., Harrington, H., … & Caspi, A. (2011). A gradient of childhood self-control predicts health, wealth, and public safety. Proceedings of the National Academy of Sciences, 108(7), 2693-2698.
- ダニーデン研究の参加者(約1000人)を対象に、幼少期(3歳から11歳)の自己制御能力(衝動性、注意持続、目標志向性など)と、32歳時点での健康、経済状況、犯罪歴との関連を分析した。
- 幼少期の自己制御能力が高いほど、成人期の身体的健康状態が良好で、経済的に豊かであり(収入、貯蓄、住宅所有など)、犯罪に関わる可能性が低いことが示された。
- 自己制御能力は、教育達成度、社会経済的地位、IQなどの影響を考慮しても、独立して成人期の成功を予測することが示された。
- 自己制御は、幼少期の重要な発達課題であり、生涯にわたる成功に影響を与える可能性があると結論づけられた。
- (注: 自己制御は自己肯定感の構成要素の一つと見なされることがあります。)
- Trzesniewski, K. H., Donnellan, M. B., Moffitt, T. E., Robins, R. W., Poulton, R., & Caspi, A. (2006). Low self-esteem during adolescence predicts poor health, criminal behavior, and limited economic prospects during adulthood. Developmental Psychology, 42(2), 381-390.
- ダニーデン研究の参加者を対象に、青年期(11歳、13歳、15歳)の自尊感情と、26歳時点でのメンタルヘルス、犯罪行動、経済状況との関連を分析した。
- 青年期の自尊感情が低いほど、成人期にうつ病、不安障害、薬物依存などの精神疾患を発症するリスクが高く、犯罪に関わる可能性が高く、経済的に困難な状況(失業、低収入など)に陥りやすいことが示された。
- 自尊感情は、性別、社会経済的地位、IQなどの影響を考慮しても、独立して成人期のアウトカムを予測することが示された。
- 青年期の自尊感情は、その後の人生における重要な転換点となりうる要因であると結論づけられた。
- Caspi, A., McClay, J., Moffitt, T. E., Mill, J., Martin, J., Craig, I. W., … & Poulton, R. (2002). Role of genotype in the cycle of violence in maltreated children. Science, 297(5582), 851-854.
- Reuben, A. (2021). Midlife “loneliness” and associations with early-life characteristics and midlife health and well-being findings from the Dunedin Study. Innovation in Aging, 5(Suppl 1), 679.
- ダニーデン研究の45歳時点の孤独感のデータを使用し、幼少期の社会性と成人期の社会サポートの関連を調査した。
- 幼少期に外向的、社交的であった参加者は、中年期に孤独感を感じにくく、より多くの社会的なつながりを持っていた。
- 幼少期の社会的スキルが、生涯にわたる人間関係の構築と維持に影響を与えることが示唆された。
- 中年期の孤独は、健康と幸福の両方に悪影響を与える可能性があると示唆された。
[成功の予測因子]:自己肯定感がもたらす経済的成功とキャリア発達の相関(メイン記事へ)
その他の人生の成功との関連についての学術研究(長期追跡調査)
- Pulkkinen, L., & Kokko, K. (2000). Identity and its developmental context: A view from a longitudinal perspective. In S. H. Filipp & U. Staudinger (Eds.), Perspectives on human development: Contributions of longitudinal research with implications for law, social policy, and service delivery (pp. 85-121). Kluwer Academic Publishers.
- Jyväskylä Longitudinal Study of Personality and Social Development (JYLS) の結果を基に、自己評価、行動、社会環境の関連性について論じた。
- 青年期の自己評価(自己肯定感)は、その後の教育達成、職業選択、経済的自立に影響を与えることが示された。
- 自己肯定感が高い青年は、より高い教育目標を設定し、学業に積極的に取り組み、将来のキャリアについて明確な計画を持つ傾向があった。
- 自己肯定感は、成人期の社会経済的地位と正の関連があることが示唆された。
- Vaillant, G. E. (2012). Triumphs of experience: The men of the Harvard Grant Study. Harvard University Press.
- (注: これは書籍であり、特定の論文ではありませんが、Grant Studyの主要な成果をまとめたものです。)
- 1938年からハーバード大学の男子学生268人を対象に、成人期から老年期までの75年以上にわたる追跡調査を実施した。
- 自己肯定感(研究では「成熟した防衛機制」や「精神的回復力」といった概念で捉えられている)は、身体的健康、精神的健康、人間関係の満足度、職業的成功など、人生の様々な側面と関連していることが示された。
- 自己肯定感が高い人は、ストレスに対処し、困難な状況から回復し、良好な人間関係を築き、仕事で成功を収める傾向があることが示された。
- 自己肯定感は、固定的なものではなく、人生経験を通じて変化し、成熟していく可能性があると結論づけられた。
- 良好な人間関係、特に幼少期の親との関係や成人期の配偶者との関係が、自己肯定感の発達に重要な役割を果たすことが示唆された。
- Werner, E. E., & Smith, R. S. (2001). Journeys from childhood to midlife: Risk, resilience, and recovery. Cornell University Press.
- (注: こちらは書籍です)
- 1955年にハワイのカウアイ島で生まれた698人を対象に、出生時から40歳までの追跡調査を実施した。
- 逆境(貧困、家族の問題、親の精神疾患など)を経験した子どもたちのうち、約3分の1が成人期に良好な適応を示し、成功を収めた。
- これらの「レジリエントな」子どもたちは、自己肯定感(自尊心、自己効力感、統制感)が高く、問題解決能力、社会的スキル、楽観性などの特徴を持っていた。
- 自己肯定感は、逆境を乗り越え、人生の成功を達成するための重要な保護要因であると結論づけられた。
- 温かく支援的な人間関係(親、教師、友人など)が、自己肯定感の発達を促進し、レジリエンスを高める上で重要な役割を果たすことが示された。
- Schoon, I. (2006). Risk and Resilience: Adaptations in changing times. Cambridge University Press.
- イギリスで 1958 年に生まれた約 17,000 人を対象にした追跡調査。
- 幼少期の自己肯定感(自己評価、自尊心)は、成人期の教育達成、雇用状況、収入、主観的幸福度と関連があることが示された。
- 自己肯定感が高い個人は、より高い教育を受け、より良い仕事に就き、より高い収入を得て、より高い人生満足度を報告する傾向があった。
- 社会経済的地位や家族環境などの要因も、自己肯定感と人生の成功の両方に影響を与えることが示された。
- Bynner, J., Joshi, H., & Tsatsas, M. (2000). Obstacles and opportunities on the route to adulthood: Evidence from rural and urban Britain. Smith Institute.
- 1970 年にイギリスで生まれた約 17,000 人を対象にした追跡調査。
- 10 歳時点での自己肯定感(自己評価、自尊心)は、その後の学業成績、16 歳時点での学業継続の意思、成人期の雇用状況や収入と関連していた。
- 自己肯定感が高い子どもは、より良い学業成績を収め、教育を継続し、より良い仕事に就く可能性が高かった。
- 家庭環境や社会経済的地位も、自己肯定感と人生の成功に影響を与えることが示された。
その他の関連する学術研究
- Marsh, H. W. (1990). Causal ordering of academic self-concept and academic achievement: A multiwave, longitudinal panel analysis. Journal of Educational Psychology, 82(4), 646-656.
- 中学生を対象とした縦断研究を実施し、自己肯定感と学業成績の因果関係を調査した。
- 学業成績がその後の自己肯定感に影響を与えるだけでなく、自己肯定感もその後の学業成績に影響を与えることが示された(双方向の関係)。
- 自己肯定感は、学習への動機づけや努力を高め、学業成績の向上に寄与すると結論づけられた。
- ただし、特定の教科の自己肯定感(数学的自己肯定感など)は、その教科の成績とより強く関連していることが示された。
- Judge, T. A., & Bono, J. E. (2001). Relationship of core self-evaluations traits—self-esteem, generalized self-efficacy, locus of control, and emotional stability—with job satisfaction and job performance: A meta-analysis. Journal of Applied Psychology, 86(1), 80-92.
- 自己肯定感(自己評価の中核的特性:自尊心、一般的自己効力感、統制の所在、情動安定性)と、仕事満足度、仕事のパフォーマンスの関係をメタ分析で検討した。
- 自己肯定感は、仕事満足度と正の相関があり、仕事のパフォーマンスとも中程度の正の相関があることが示された。
- 自己肯定感が高い人は、より困難な目標を設定し、目標達成のために努力し、ストレスに対処する能力が高い傾向があるとされた。
- 自己肯定感は、リーダーシップの有効性とも関連している可能性があると結論づけられた。
- Rutter, M. (1985). Resilience in the face of adversity: Protective factors and resistance to psychiatric disorder. The British Journal of Psychiatry, 147(6), 598-611.
- 逆境に直面した子どもたちを対象に、精神的な問題を回避して立ち直る力(レジリエンス)に関わる要素を調査した。
- 自己肯定感が高い子どもは、困難な状況に直面しても、ストレスや精神的な問題を発症しにくいことが示された。
- 自己肯定感は、問題解決能力、社会的サポートの活用、肯定的な自己認識などを促進し、レジリエンスを高めるとされた。
- 自己肯定感は、困難な状況からの回復を促進し、その後の成功に寄与する重要な要素であると結論づけられた。
[長期追跡データ]:ダニーデン研究等が示す自己肯定感と成人期の社会的成功(メイン記事へ)
自己効力感に関する学術研究
社会的認知理論とエージェンシー
バンデューラの「社会的認知理論(Social Cognitive Theory)」
本記事では「自信の強さ」として解説した自己効力感ですが、学術的にはアルバート・バンデューラの「社会的認知理論」の中核をなす概念です。
バンデューラは、人間の行動が「個人的要因(認知・感情)」「行動」「環境」の3つが互いに影響し合う「三者相互作用(相互決定主義)」によって決まると説きました。自己効力感は単なる思い込みではなく、この相互作用の中で「自分が環境に働きかけて望む結果を出せるか」というエージェンシー(主体性)の感覚を指します。以下の研究は、この感覚が実際のパフォーマンスを劇的に向上させることを実証しています。
自己効力感の形成メカニズム(4つの情報源)
バンデューラは、自己効力感を形成する以下の4つの情報源を特定しました。これは「高める方法」の理論的根拠となります。
- 遂行行動の達成(Enactive Mastery Experience): 自分自身の成功体験。最も強力な自己効力感の源泉。
- 代理的経験(Vicarious Experience): 他者の成功を観察すること。「彼にできるなら私にもできる」というモデリング効果。
- 言語的説得(Verbal Persuasion): 他者からの励ましや自己暗示。「君ならできる」と言われること。
- 情動的喚起(Physiological and Affective States): 生理的・感情的な状態の解釈。ドキドキを「不安」ではなく「武者震い」と捉えること。
自己効力感とパフォーマンスに関する学術研究
代表的な学術研究
- Bandura, A. (1997). Self-efficacy: The exercise of control. W. H. Freeman.
- 書籍のため、論文形式ではありませんが、重要な研究です)
- 自己効力感の概念を提唱し、自己効力感が目標設定、努力、持続性、パフォーマンスに与える影響を詳細に論じた。
- 自己効力感は、特定の課題や目標を達成できるという自信の程度を指し、行動の選択、努力の量、困難への対処に影響を与えるとされた。
- 自己効力感が高い人は、より困難な目標に挑戦し、困難に直面しても諦めずに努力を続ける傾向があることが示された。
- 自己効力感は、目標達成の重要な予測因子であり、成功体験、代理経験、社会的説得、情動的喚起によって高めることができると結論づけられた。
- Lent, R. W., Brown, S. D., & Hackett, G. (1994). Toward a unifying social cognitive theory of career and academic interest, choice, and performance. Journal of Vocational Behavior, 45(1), 79-122.
- 社会的認知理論に基づき、自己効力感がキャリア選択、興味、パフォーマンスに与える影響を検討した。
- 特定の課題や領域における自己効力感は、その領域への興味、目標設定、努力、持続性、最終的なパフォーマンスを予測することが示された。
- 自己効力感は、過去の成功体験、代理経験(他者の成功観察)、社会的説得(他者からの励まし)、情動的喚起(不安や興奮)によって形成されるとされた。
- 自己効力感を高める介入は、キャリア発達を促進する上で有効であると結論づけられた。
- Stajkovic, A. D., & Luthans, F. (1998). Self-efficacy and work-related performance: A meta-analysis. Psychological Bulletin, 124(2), 240-261.
- 自己効力感と仕事関連のパフォーマンスに関する114件の研究(総参加者数21,616人)をメタ分析した。
- 自己効力感と仕事のパフォーマンスの間には、強い正の相関(平均相関係数 r = .38)があることが示された。
- この相関は、課題の複雑さ、測定方法、研究デザインなどに関わらず、一貫して見られた。
- 自己効力感は、過去のパフォーマンスよりも、将来のパフォーマンスをより強く予測することが示された。
- 自己効力感は、パフォーマンスに影響を与える重要な心理的メカニズムであると結論づけられた。
- Bandura, A. (1977). Self-efficacy: Toward a unifying theory of behavioral change. Psychological Review, 84(2), 191-215.
- 自己効力感の概念を提唱し、自己効力感が行動の変化に与える影響を説明する理論的枠組みを提示した。
- 自己効力感は、行動の選択、努力の量、困難への対処、持続性、思考パターン、感情反応などに影響を与えるとされた。
- 自己効力感は、過去の成功体験、代理経験(他者の成功観察)、社会的説得(他者からの励まし)、情動的・生理的状態(不安や興奮の解釈)によって形成されるとされた。
- 自己効力感を高める介入は、行動の変化を促進する上で有効であると結論づけられた。
- Multon, K. D., Brown, S. D., & Lent, R. W. (1991). Relation of self-efficacy beliefs to academic outcomes: A meta-analytic investigation. Journal of Counseling Psychology, 38(1), 30-38.
- 自己効力感と学業成績に関する研究をメタ分析した(総参加者数 不明)。
- 自己効力感と学業成績の間には、中程度の正の相関があることが示された。
- 自己効力感は、学業成績の変動の約14%を説明すると推定された。
- 自己効力感は、学業成績に影響を与える重要な要因であり、教育介入のターゲットとなり得ると結論づけられた。
- Moritz, S. E., Feltz, D. L., Fahrbach, K. R., & Mack, D. E. (2000). The relation of self-efficacy measures to sport performance: A meta-analytic review. Research Quarterly for Exercise and Sport, 71(3), 280-294.
- 自己効力感と運動パフォーマンスに関する研究をメタ分析した(45の研究)。
- 自己効力感と運動パフォーマンスの間には、中程度の正の相関があることが示された。
- 自己効力感は、競技レベル、課題の種類、測定方法などに関わらず、運動パフォーマンスと一貫して関連していた。
- 自己効力感は、運動パフォーマンスの向上を目指す上で、重要な心理的要因であると結論づけられた。
- Tierney, P., & Farmer, S. M. (2002). Creative self-efficacy: Its potential antecedents and relationship to creative performance. Academy of Management Journal, 45(6), 1137-1148.
- 従業員を対象に、創造的自己効力感(創造的な課題を遂行できるという自信)と創造的パフォーマンスの関係を調査した。
- 創造的自己効力感は、創造的パフォーマンスと正の相関があることが示された。
- 創造的自己効力感は、職務の複雑さ、リーダーからのサポート、自己肯定感などによって高められることが示された。
- 創造的自己効力感は、創造性を発揮するための重要な動機づけ要因であると結論づけられた。
[能力と成果]:自己効力感が仕事や学業のパフォーマンスに及ぼす影響(メイン記事へ)
自己肯定感と自己効力感とは独立した変数であるとする学術研究
「自分は好き」だけど「自信はない」のパラドックス
自己肯定感(Beingの肯定)と自己効力感(Doingの自信)は相関しますが、独立した変数です。例えば、特定の課題(数学など)に対して高い自己効力感を持っていても、全般的な自己肯定感が低いケースは珍しくありません。以下の研究は、これらが異なるメカニズムで機能していることを示しています。
代表する学術研究
- Judge, T. A., Erez, A., Bono, J. E., & Thoresen, C. J. (2002). Are measures of self-esteem, neuroticism, locus of control, and generalized self-efficacy indicators of a common core construct?. Journal of Personality and Social Psychology, 83(3), 693-710.
- Stajkovic, A. D., & Luthans, F. (1998). Self-efficacy and work-related performance: A meta-analysis. Psychological Bulletin, 124(2), 240-261.
- 自己効力感と仕事関連のパフォーマンスに関する114件の研究をメタ分析した。
- 自己効力感は、仕事のパフォーマンスと強い正の相関があることが示された。
- 自己効力感と自尊心の関係については、一部の研究で正の相関が報告されているものの、両者は異なる概念であり、それぞれがパフォーマンスに独立した影響を与えることが示唆された。
- 自己効力感は、特定の課題や状況における自信を反映するのに対し、自尊心はより全般的な自己価値の感覚を反映するとされた。
- Skaalvik, E. M., & Skaalvik, S. (2002). Internal and external frames of reference for academic self-concept. Educational Psychologist, 37(4), 233-244.
- ノルウェーの小学生と中学生を対象に、学業的自己効力感と学業的自尊心の関係を縦断的に調査。
- 学業的自己効力感と学業的自尊心は、相互に関連しているが、異なる構成概念であることが示された。
- 学業的自己効力感は、特定の教科(数学、国語など)における能力の知覚を反映し、学業的自尊心は、学業全般における自己価値の感覚を反映するとされた。
- 過去の学業成績は、その後の学業的自己効力感と学業的自尊心の両方に影響を与えることが示された。
- Vancouver, J. B., & Kendall, L. N. (2006). When self-efficacy negatively relates to motivation and performance in a learning context. Journal of Applied Psychology, 91(5), 1146-1153.
- 大学生を対象に、自己効力感、自尊心、目標設定、学習パフォーマンスの関係を実験的に調査した。
- 自己効力感とパフォーマンスの間には、必ずしも正の相関があるわけではなく、状況によっては負の相関が生じる可能性があることが示された。
- 自己効力感が高い場合、目標設定が低くなる傾向があり、その結果、パフォーマンスが低下する可能性があることが示唆された。
- 自尊心は、自己効力感とパフォーマンスの関係を調整する役割を果たす可能性があるとされた。
- 自己効力感と自尊心は異なるメカニズムを通じて、モチベーションとパフォーマンスに影響すると考えられる。
- Bandura, A. (1997). Self-efficacy: The exercise of control. W. H. Freeman.
- (書籍のため、論文形式ではありませんが、重要な研究です)
- 自己効力感は、目標設定、努力、持続性、ストレス対処など、人間の行動の多くの側面に影響を与えると論じた。
- 自己効力感は、抑うつとも関連しており、自己効力感が低い人は、抑うつになりやすい傾向があることが示された。
- 自尊心と自己効力感は関連しているものの、異なる概念であり、自尊心は自己価値の全体的な評価であるのに対し、自己効力感は特定の課題を遂行する能力に対する信念であるとされた。
- 自己効力感は、成功体験、代理経験(他者の成功観察)、社会的説得(他者からの励まし)、情動的・生理的状態(不安や興奮)によって変化するとされた。
[概念の独立性]:自己肯定感と自己効力感の相違点に関する学術的エビデンス(メイン記事へ)
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▼ 記事の主要な参照文献リスト(ワンクリック検証)
- Leary, M. R., et al. (1995). Self-esteem as an interpersonal monitor: The sociometer hypothesis. 学術検索
- Rosenberg, M. (1965). Society and the Adolescent Self-Image. 学術検索
- Judge, T. A., et al. (1997). The ontological and phenomenological status of core self-evaluations. 学術検索
- Leary, M. R. (2000). Making sense of self-esteem: The sociometer hypothesis. 学術検索
- Judge, T. A., & Bono, J. E. (2001). Relationship of core self-evaluations traits to job satisfaction and job performance: A meta-analysis. 学術検索
- Orth, U., et al. (2012). Self-esteem development from young adulthood to old age. 学術検索
- Baumeister, R. F., et al. (2003). Does high self-esteem cause better performance, interpersonal success, happiness? 学術検索
- Leary, M. R. (2005). Sociometer theory and the pursuit of self-esteem. 学術検索
- Judge, T. A., et al. (2003). The Core Self-Evaluations Scale: Development of a measure. 学術検索
- Tafarodi, R. W., & Swann, W. B. (2001). Two-dimensional self-esteem: Theory and measurement. 学術検索
