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[幸福度を高める趣味]についての網羅的な詳細解説(メイン記事へ)
記事に使用した各種の学術研究・論文(その10)(重要度★☆☆)
最新の学術研究に基づき、趣味に費やす時間、能動的/受動的趣味の違い、好奇心と趣味の多様性が幸福度に与える影響を詳細に解説する論文データ集。
趣味と幸福度の関連についての学術調査
年代別に趣味にどれくらいの時間を費やすかの研究の学術研究
代表的な学術研究
- 総務省統計局: (2021). 令和3年社会生活基本調査.
- 日本の国民の生活時間や生活行動に関する統計調査であり、趣味・娯楽に費やす時間についても、年齢階級別に詳細なデータが公開されている。
- この調査によると、2021年における日本人の趣味・娯楽に費やす1日あたりの平均時間は、全体で1時間17分である。
- 年齢別に見ると、15~19歳(1時間44分)、20~24歳(1時間48分)、25~29歳(1時間24分)と若年層で多く、年齢が上がるにつれて減少し、60〜64歳(1時間7分)で底をうち、その後は65〜69歳(1時間12分)、70〜74歳(1時間18分)、75歳以上(1時間23分)と年齢とともに再び増加する。
- この結果は、若年層と高齢層で趣味・娯楽に費やす時間が多いU字型の傾向を示している。なお、この統計には趣味と娯楽が併記されている点に注意が必要である。
- Robinson, J. P., & Godbey, G.: (1999). Time for life: The surprising ways Americans use their time. Penn State Press.
- 石田浩・吉岡祥一・中谷内一也: (2015). ライフコースによる規定要因と自由時間行動 ―「生活に関する継続調査(1999-2008)」の分析から―. 理論と方法, 30(1), 99-115.
- 日本人のライフコース(年齢、ライフステージ、ジェンダーなど)と自由時間行動の関連を分析した研究である。
- この研究では、1999年から2008年にかけての追跡調査データを用いて、年齢が上がるにつれて、自由時間全体に占める「趣味・娯楽」時間の割合が増加することを示した。
- 特に、中年期以降において、趣味・娯楽が自由時間の主要な構成要素となることが示唆されている。
[年代別推移]:年齢ごとの趣味時間の変化と幸福度の相関データ(メイン記事へ)
趣味と幸福度の関連についての学術研究
前提となる学術研究
- Csikszentmihalyi, M.: (1990). Flow: The psychology of optimal experience. New York: Harper & Row.
- Killingsworth, M. A., & Gilbert, D. T.: (2010). A wandering mind is an unhappy mind. Science, 330(6006), 932.
- 心ここにあらずの状態(マインドワンダリング)と幸福度の関係を調査した研究である。iPhoneアプリを用いて、2250人の成人を対象に、日常生活の様々な場面で、(1)現在の行動、(2)現在の心の状態(マインドワンダリングの有無)、(3)幸福度をリアルタイムに調査した。
- マインドワンダリングの頻度:
- 参加者の46.9%の時間でマインドワンダリングが報告されました。 つまり、人々は起きている時間の約半分を、今していることとは別のことを考えて過ごしていることが明らかになりました。
- マインドワンダリングの頻度は、個人差が大きく、10%未満の人から90%以上の人まで幅がありました。
- 活動内容とマインドワンダリング:
- ほとんどすべての活動において、マインドワンダリングが発生していました。
- 例外は、性行為を行っている時で、マインドワンダリングの頻度が最も低かったです(約30%)。
- 仕事、通勤、家事などの活動中は、マインドワンダリングの頻度が特に高かったです(約50%)。
- マインドワンダリングと幸福感:
- マインドワンダリングをしている時、人はマインドワンダリングをしていない時よりも、有意に幸福度が低いことが示されました。
- 考えていた内容が快適なことであっても、幸福度は「今していること」に集中している時よりも低いという結果でした。
- 不快なことを考えている時は、最も幸福度が低くなりました。
- 何をしているかよりも、心がさまよっているかどうかの方が、幸福度に強い影響を与えていました。
- 因果関係:
- 統計的な分析の結果、幸福度が低いからマインドワンダリングが起こるのではなく、マインドワンダリングが起こるから幸福度が低下する可能性が高いことが示唆されました。
代表的な学術研究
- Iwasaki, Y.: (2007). Leisure and quality of life in an international and multicultural context: What are major pathways linking leisure to quality of life?. Social Indicators Research, 82(2), 233-264.
- Trainor, S., Delfabbro, P., Anderson, S., & Winefield, A.: (2010). Leisure activities and adolescent psychological well-being. Journal of Adolescence, 33(1), 173-186.
- オーストラリアの青少年を対象に、余暇活動と心理的ウェルビーイング(精神的健康)の関係を調査した研究である。
- スポーツ、芸術、ボランティア活動などの組織化された余暇活動への参加は、自尊心の向上、抑うつ症状の軽減、社会的スキルの発達など、様々なポジティブな効果と関連していることが示された。
- 特に、自己表現や達成感を伴う趣味は、青少年の精神的健康を促進する上で重要な役割を果たすことが示唆された。
- Heintzman, P.: (2002). A conceptual model of leisure and spiritual well-being. Journal of Park & Recreation Administration, 20(4), 146-168.
- Rodríguez, A., Latkova, P., & Sun, Y. Y.: (2008). The relationship between leisure and life satisfaction: Application of activity and need theory. Social Indicators Research, 86(1), 163-175.
- 大学生を対象に、余暇活動と生活満足度の関係を、活動理論とニーズ理論の観点から検討した研究である。
- 多様な余暇活動に参加すること、そして、それらの活動が個人のニーズ(例:達成、社交、リラックス)を満たしていることが、生活満足度を高める上で重要であることが示された。
- 特に、自己表現や自己成長につながる趣味は、生活満足度と強く関連していることが明らかになった。
- Heintzman, P.: (2020). Leisure, subjective well-being, and flourishing. In M. A. White (Ed.), The Palgrave handbook of positive psychology and leisure (pp. 39-62). Palgrave Macmillan.
- 主観的幸福感と余暇の関係性についての研究レビューである。
- 余暇、特に趣味の活動は主観的幸福感に影響を及ぼす重要な要素であるとしている。余暇活動は、主観的幸福感の感情的、認知的、心理的な側面それぞれに影響する事が示されている。
[基本理論]:趣味の有無が幸福度に与える影響の根拠(メイン記事へ)
趣味の充実度と幸福との関係を調査した学術研究
代表的な学術研究
- 西村聡史・高橋征仁・小杉考司・柴田健一・小林庸悟・高尾総司: (2019). 青年期における趣味活動の充実感が生活満足感、自己効力感、ソーシャル・サポートおよび抑うつに及ぼす影響. 香川大学心理臨床センター紀要, 18, 33-43.
- 日本の青年を対象に、趣味活動の充実感が、生活満足感、自己効力感、ソーシャル・サポート、抑うつに与える影響を調査した研究である。
- 趣味活動の充実感は、生活満足感、自己効力感、ソーシャル・サポートと正の相関があり、抑うつと負の相関があることが示された。
- つまり、趣味が充実していると感じている人ほど、生活満足感が高く、自己効力感が高く、周囲からのサポートを実感しやすく、抑うつ傾向が低いことが明らかになった。
- 趣味の充実感は、生活満足感に対して、自己効力感とソーシャル・サポートを媒介して、間接的にも影響を与えていることが示唆されている。
- Iwasaki, Y.: (2007). Leisure and quality of life in an international and multicultural context: What are major pathways linking leisure to quality of life?. Social Indicators Research, 82(2), 233-264.
- Haworth, J. T., & Hill, S.: (1992). Work, leisure, and psychological well-being in a sample of young adults. Journal of Community & Applied Social Psychology, 2(2), 147-160.
- 若年成人を対象に、仕事と余暇(趣味を含む)の充実度と、心理的幸福感の関係を調査した研究である。
- 仕事と余暇の両方が充実していると感じている人は、最も高い心理的幸福感を示した。一方、仕事は充実しているが余暇が充実していないと感じている人は、余暇は充実しているが仕事が充実していないと感じている人よりも、心理的幸福感が低いことが示された。
- この結果は、仕事だけでなく、余暇、特に趣味の充実も、幸福感にとって重要であることを示唆している。
- Adams, G. A., King, L. A., & King, D. W.: (1996). Relationships of job and family involvement, family social support, and work–family conflict with job and life satisfaction. Journal of Applied Psychology, 81(4), 411-420.
- 仕事と家庭の関与、家族からのサポート、ワークファミリーコンフリクトが、仕事満足度と生活満足度に与える影響を調査した研究である。
- この研究では、趣味への関与(余暇の充実度)が、生活満足度と正の関連を持つことが示された。
- また、趣味への関与は、ワークファミリーコンフリクトを緩和し、間接的に生活満足度を高める効果があることも示唆されている。
[充実度]:自律性と有能感を満たす活動が満足度を高める理由(メイン記事へ)
趣味の種類と幸福度の関連についての学術研究
代表的な学術研究
- Kim, J., Heo, J., Lee, I., Kim, S., & Seok, J.: (2021). What kind of activities make people happiest? Analyzing the relationship between happiness and time-use by using smartphone data. Journal of Happiness Studies, 22(8), 3471-3492.
- スマートフォンの使用データを用いて、どのような活動が人々の幸福感を高めるかを分析した研究である。この研究では、韓国の成人男女55名を対象に、彼らの日常活動と幸福度を2週間にわたって追跡した。
- 結果として、運動、社交活動、宗教活動、ボランティア活動が、幸福度と特に強い正の相関を持つことが示された。これらの活動は、個人に達成感、社会的つながり、意味のある目的をもたらすと考えられる。
- Newman, D. B., Tay, L., & Diener, E.: (2014). Leisure and subjective well-being: A model of psychological mechanisms as mediating factors. Journal of Happiness Studies, 15(3), 555-578.
- 余暇活動と主観的幸福感の関係を媒介する心理的メカニズムを検討した研究である。
- Detachment-Recovery (心理的離脱-回復)、Autonomy (自律性)、Mastery (熟達)、Meaning (意味)、Affiliation (親和)を通じて主観的幸福度に影響を与えると想定した。
- 余暇活動が、自律性、有能感、関係性の欲求を満たすことで、主観的幸福感を高めることが示された。
- 心理的離脱-回復(Detachment-Recovery)(仕事や日常のストレスから離れ、心身を回復させること)と自律性(Autonomy)(自分の意思で活動を選択し、コントロールする感覚)が、特に強い媒介効果を示した。これは、ストレスからの解放と、自己決定の感覚が、幸福感向上に重要であることを示唆している。
- 熟達(Mastery)、意味(Meaning)、親和(Affiliation)も有意な媒介効果を示したが、その影響は比較的小さかった。
- Son, J., & Yarnal, C.: (2018). Do older adults with hobbies have higher levels of leisure satisfaction and happiness? Activities, Adaptation & Aging, 42(1), 1-22.
- 高齢者を対象に、趣味の有無と余暇満足度、幸福度の関係を調査した研究である。
- 結果として、趣味を持つ高齢者は、趣味を持たない高齢者に比べて、余暇満足度と幸福度が高いことが示された。
- 特に、創造的な趣味や身体活動を伴う趣味は、高齢者の幸福度向上に有効であると結論づけている。これらの趣味は、達成感や自己効力感を高め、身体的・精神的健康を促進するためと考えられる。
- Lee, D. J., & Kim, S.: (2019). Social activity as a way to well-being for older adults: Implications for aging well in the 21st century, Applied Research in Quality of Life, 14(2), 595-613.
- 高齢者を対象に、社会的な活動が主観的幸福感にどのような影響を及ぼすかを調査した研究である。社会的な活動とは、他者との交流や社会参加を伴う活動全般であり、組織化された活動だけでなく、非公式な活動(友人や家族との交流、近所の人との付き合い、趣味を通じた仲間との交流等))が含まれる。
- 社会的な趣味は、個人に社会的なサポート、帰属意識、社会への貢献という感覚をもたらし、これらの要因が、生活満足度の向上と精神的健康の改善に繋がることが示された。
[メカニズム]:フロー体験による「マインドワンダリング(心の彷徨)」の抑制(メイン記事へ)
能動的趣味と受動的趣味についての学術調査
能動的趣味と受動的趣味についての学術研究
代表的な学術研究
- Johannes, N., et al.: (2022). Time spent using digital media and mental wellbeing during the COVID-19 pandemic: longitudinal study. BMJ Open, 12:e062234.
- この研究は、コロナ禍の中で種類のメディア(音楽、テレビ、映画、テレビゲーム、本、雑誌、オーディオブック)の利用が、人々の幸福度や不安度にどのように影響するかを調べた研究である。
- この研究では、「どんなメディアであっても幸福度を向上させることはできない」と結論付けられた。特に、受動的なメディア消費 (音楽、テレビ、映画、テレビゲーム) は、幸福度を低下させ、不安度を高める可能性が示唆された。
- 音楽、テレビ、映画、テレビゲーム: これらのメディアを消費した人は、しなかった人よりも幸福度が低く、不安度が高い傾向が見られた。
- 本、雑誌、オーディオブック: これらのメディアは、幸福度や不安度に有意な影響を与えなかった。
- コロナ禍の影響: COVID-19のパンデミックによるストレスや不安が、メディア利用と幸福度の関係に影響を与えている可能性が示唆された。
- Wang, M., & Wong, M. C. S.: (2014). Happiness and active/passive leisure across life span. Journal of Positive Psychology and Wellbeing, 4(1), 45-56.
- 幅広い年齢層を対象に、能動的/受動的余暇活動と幸福度の関係を調査した研究である。
- 能動的余暇活動(例:スポーツ、ボランティア)は、受動的余暇活動(例:テレビ視聴、インターネット閲覧)よりも、幸福度との関連が強いことが示された。
- 特に中年期以降において、能動的余暇活動は幸福度向上に重要であることが示唆されている。
- この研究では、能動的活動が、自己効力感や達成感、社会的つながりを高めるため、幸福感に寄与すると考察している。
- Iwasaki, Y.: (2007). Leisure and quality of life in an international and multicultural context: What are major pathways linking leisure to quality of life?. Social Indicators Research, 82(2), 233-264.
- 余暇と生活の質の関連性に関する国際比較研究であり、能動的/受動的余暇活動の区別にも言及している。
- 能動的余暇活動は、特に身体的・精神的健康の向上を通じて、生活の質を高める効果が大きいことを示している。
- 受動的余暇活動についても、リラクゼーションやストレス解消の効果はあるものの、能動的活動ほど生活の質への影響は大きくないことが示唆されている。
- Bibbey, A., Weiss, M. C., & Pursey, K.: (2022). Active and passive social media use and well-being in undergraduate students. Computers in Human Behavior Reports, 7, 100201.
- 大学生における能動的/受動的なソーシャルメディアの使用とウェルビーイングの関連を調査した研究である。
- 能動的な使用(例:投稿、コメント)はウェルビーイングと関連が薄く、受動的な使用(例:閲覧、情報収集)はウェルビーイングの低さと関連があることが示された。
- 特に、受動的なソーシャルメディアの使用は、社会的比較や孤独感を引き起こし、精神的健康に悪影響を与える可能性が示唆されている。
- この研究は、受動的な活動が、必ずしも幸福感に寄与しないことを示している。
- Zhong, S., & Mitchell, M. S.: (2012). The relationship between active-productive engagement and late-life cognitive functioning, The Journals of Gerontology Series B: Psychological Sciences and Social Sciences, 67(4), 437-444.
- 高齢者の能動的・生産的な活動への参加と認知機能の関係を調査した研究である。
- ボランティア活動や趣味への参加といった、能動的・生産的な活動に従事している高齢者は、受動的・消費的な活動に従事している高齢者に比べて、高い認知機能を有していることが示された。
- 能動的な活動は、認知的な刺激や社会的交流の機会を提供し、認知機能の維持・向上に貢献すると考えられる。
[比較研究]:能動的趣味と受動的趣味がもたらす幸福度の違い(メイン記事へ)
テレビの視聴時間と生活満足度の関連についての学術研究
代表的な学術研究
- Frey, B. S., Benesch, C., & Stutzer, A.: (2007). Does watching TV make us happy?. Journal of Economic Psychology, 28(3), 283-313.
- テレビ視聴と幸福度の関係を、ヨーロッパのデータを用いて分析した研究である。
- この研究では、テレビ視聴時間が長いほど、生活満足度が低い傾向にあることが示された。
- 特に、自己認識における時間管理能力が低い人ほど、テレビ視聴が生活満足度に負の影響を与えることが明らかになった。
- 過剰なテレビ視聴は、他の有意義な活動時間を奪い、結果として生活満足度を低下させる可能性が示唆されている。
- Delle Fave, A., Brdar, I., Freire, T., Vella-Brodrick, D., & Wissing, M. P.: (2011). The eudaimonic and hedonic components of happiness: Qualitative and quantitative findings. Social Indicators Research, 100(2), 185-207.
- Morgan, M., Shanahan, J., & Signorielli, N.: (2015). Television and social reality: Exploring the cultivating effects of television on social reality beliefs and attitudes. In R. West & L. Turner (Eds.), The Sage handbook of family communication (pp. 577-593). Sage Publications.
- テレビ視聴が人々の社会現実の認識に与える影響を調査した研究(カルティベーション理論)に関するレビューである。
- 長時間のテレビ視聴は、現実の世界に対する歪んだ認識(例えば、世界は実際よりも危険であると考える)を形成し、不安や不信感を増大させる可能性があることが示されている。
- これは、テレビ視聴が、間接的に生活満足度に悪影響を与える可能性を示唆するものである。
- Benedikt, R., Nies, J., Oliver, L. & Danner, D.: (2022). Association between screen time and subjective well-being among adults in Germany, Journal of Public Health, 30, 2697-2706
- ドイツ人成人を対象に、スクリーンタイムと主観的幸福感の関係を調べた研究である。
- テレビの視聴時間は主観的幸福感と負の相関関係がある。
- 男性よりも女性の方が、テレビ視聴時間と主観的幸福感の負の相関関係が強い。
- 主観的幸福感の中でも、特に身体的幸福感と社会的幸福感において、テレビ視聴時間との負の相関関係が強い。
[時間管理]:テレビ視聴時間と生活満足度の「負の相関」について(メイン記事へ)
時間の機会費用の低い人が受動的趣味により幸福度が低下する学術研究
代表的な学術研究
- Robinson, J. P., & Godbey, G.: (1999). Time for life: The surprising ways Americans use their time. Penn State Press.
- 米国における人々の時間利用に関する大規模調査の結果をまとめたものである。
- この調査によれば、高所得者ほどテレビ視聴時間が短い傾向にあることが明らかになった。これは、高所得者は時間の機会費用が高いく、受動的な娯楽であるテレビ視聴を避ける傾向にあるためと解釈できる。
- 一方、低所得者はテレビ視聴時間が長い傾向にある。これは、テレビ視聴が低コストで楽しめる娯楽であるためと考えられる。
- Przybylski, A. K., & Weinstein, N.: (2017). A large-scale test of the Goldilocks Hypothesis: Quantifying the relations between digital-screen use and the mental well-being of adolescents. Psychological Science, 28(2), 204-215.
- 本研究は、英国の約12万人の15歳を対象とした大規模調査データを用いて、デジタルスクリーン利用(テレビ視聴、SNS利用、ゲームなどを含む)と精神的幸福感の関係を分析したものである。
- その結果、デジタルスクリーン利用時間と精神的幸福感の間には、逆U字型の関係があることが示された。つまり、適度な利用は幸福感と関連するが、過剰な利用は幸福感を低下させるということである。
- この研究では、所得との関連は明確に分析されていないが、過剰な利用に陥るリスクは、時間の機会費用が低い人ほど高い可能性がある。
- Twenge, J. M., Martin, G. N., & Campbell, W. K.: (2018). Decreases in psychological well-being among American adolescents after 2012 and links to screen time during the rise of smartphone technology. Emotion, 18(6), 765-780.
- 本研究は、米国の高校生を対象とした1991年から2016年までの長期間の調査データを用いて、精神的幸福感の変化とスクリーンタイム(特にスマートフォン利用)の関係を分析したものである。
- 2012年以降、青少年の精神的幸福感が低下傾向にあること、そして、その低下とスクリーンタイムの増加に関連があることが示された。
- この研究では、所得との関連は分析されていないが、スクリーンタイムの増加が幸福感に負の影響を与える可能性が示唆されている。
- Ahn, J.: (2011). The effect of social network sites on adolescents’ social and academic development: Current theories and controversies. Journal of the American Society for Information Science and Technology, 62(8), 1435-1445.
- 本研究は、SNSが青少年の社会的および学業的発達に与える影響に関する既存研究をレビューしたものである。
- SNS利用は、友人関係の維持などのポジティブな影響をもたらす一方で、学業成績の低下や睡眠不足などのネガティブな影響をもたらす可能性もあることが指摘されている。
- 特に、時間の機会費用が低い青少年は、SNSに過剰な時間を費やし、ネガティブな影響を受けやすい可能性がある。
[メディア消費]:コロナ禍でのメディア利用が幸福度に与えた影響(メイン記事へ)
好奇心と幸福度に関する学術研究
好奇心と幸福度の関連を調査した学術研究
代表的な学術研究
- Kashdan, T. B., & Steger, M. F.: (2007). Curiosity and pathways to well-being and meaning in life: Traits, states, and everyday behaviors. Motivation and Emotion, 31(3), 159-173.
- この研究では、好奇心が幸福感や人生の意味と正の関連があることを示した。
- 好奇心の高い人は、日常的に新しい経験や知識を求め、それによってポジティブな感情を経験しやすく、人生に意味を見出しやすいことが示唆されている。
- 具体的には、好奇心は、自己実現、個人的成長、主観的幸福感と関連していた。この研究は、好奇心が幸福な人生を送るための重要な要素であることを示唆している。
- Park, N., Peterson, C., & Seligman, M. E.: (2004). Strengths of character and well-being. Journal of Social and Clinical Psychology, 23(5), 603-619.
- この研究では、24の性格的強み(例:誠実さ、優しさ、感謝など)と幸福度の関連を調査し、好奇心が幸福度と強く関連する性格的強みの一つであることを明らかにした。
- 特に、好奇心は、人生への熱意、希望、愛、感謝といった他の性格的強みとも関連しており、これらを媒介して幸福度に影響を与えている可能性が示唆されている。
- Gallagher, M. W., Lopez, S. J., & Pressman, S. D.: (2013). Linking curiosity, meaning in life, and subjective well-being in older adults. The Journal of Positive Psychology, 8(3), 215-221.
- 高齢者を対象に、好奇心、人生の意味、主観的幸福感の関連を調査した研究である。
- この研究では、好奇心が高い高齢者は、人生の意味を見出しやすく、主観的幸福感も高いことが示された。
- この結果は、高齢期においても好奇心が幸福感に寄与することを示唆しており、生涯を通じて好奇心を育むことの重要性を示している。
[性格特性]:好奇心の強さがポジティブな感情と人生の意味をもたらす(メイン記事へ)
趣味の多様性と幸福度の関連を調査した学術研究
代表的な学術研究
- Rodriguez, A., Latkova, P., & Sun, Y. Y.: (2008). The relationship between leisure and life satisfaction: Application of activity theory, Social Indicators Research, 89(3), 431-449.
- 活動理論の枠組みを用いて、余暇活動と生活満足度の関係を検証した研究である。
- この研究では、多様な余暇活動に参加している人ほど、生活満足度が高いことが示された。
- 特に、社会的交流を伴う活動や、自己成長につながる活動は、生活満足度との関連が強いことが明らかになった。この研究は、多様な趣味を持つことが、多様なニーズを満たし、生活満足度を高める可能性を示唆している。
- Lee, K. H., Lee, J. H., & Kim, S. K.: (2016). The effects of leisure activity diversity on subjective well-being and health among middle-aged and older adults: Evidence from South Korean panel data. Journal of Aging and Health, 28(7), 1218-1236.
- 韓国の中高年を対象に、余暇活動の多様性と主観的幸福感および健康との関連を調査した研究である。
- この研究では、多様な余暇活動に参加している人ほど、主観的幸福感が高く、健康状態も良好であることが示された。
- この結果は、多様な趣味を持つことが、中高年期における幸福感や健康の維持・増進に寄与する可能性を示唆している。
- Iwasaki, Y., & Smale, B. J.: (1998). Longitudinal analysis of the relationship between leisure participation, psychological well-being, and health in a sample of Canadian adults. Leisure/Loisir, 22(1-2), 29-60.
- カナダの成人を対象に、余暇活動への参加、心理的幸福感、健康の関連を縦断的に調査した研究である。
- この研究では、特に、創造的活動、社会的活動、身体的活動といった多様な余暇活動への参加が、心理的幸福感や健康の向上と関連することが示された。
- 多様な趣味を持つことが、様々な側面から幸福感や健康に寄与する可能性が示唆されている。
[分散投資]:多様な趣味を持つことが幸福のリスクヘッジになる理由(メイン記事へ)
【学術的根拠の検証(検索ポータル)】
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▼ 記事の主要な参照文献リスト(ワンクリック検証)
- Killingsworth, M. A., & Gilbert, D. T. (2010). A wandering mind is an unhappy mind. 学術検索
- Raichle, M. E., et al. (2001). A default mode of brain function. 学術検索
- Kashdan, T. B., et al. (2004). Curiosity and exploratory appetite. 学術検索
- Smallwood, J., & Schooler, J. W. (2006). The restless mind. 学術検索
- Christoff, K., et al. (2009). Experience sampling during fMRI. 学術検索
- Buckner, R. L., et al. (2008). The brain's default network: Anatomy, function. 学術検索
- Schooler, J. W., et al. (2011). Meta-awareness, perceptual decoupling and mind wandering. 学術検索
- Kane, M. J., et al. (2007). For whom the mind wanders, and when. 学術検索
- Mason, M. F., et al. (2007). Wandering minds: The default network and stimulus-independent thought. 学術検索
- Baird, B., et al. (2012). Inspired by distraction: Mind wandering facilitates creative incubation. 学術検索
この記事に関するよくある質問
Q.Killingsworth & Gilbertの研究『彷徨う心(マインドワンダリング)』が示す衝撃の結論とは?
A.人は起きている時間の約47%を『今ここ』ではない別のことを考えて過ごしており、このマインドワンダリングの頻度が高いほど、幸福度は著しく低下するという知見です。たとえ楽しい空想であっても、集中していない状態は脳を疲れさせます。
Q.チクセントミハイが提唱する『能動的趣味』が、テレビ視聴より幸福度が高い理由は?
A.スポーツや創作などの能動的趣味は『フロー体験(没頭)』を誘発し、有能感と自己成長をもたらすからです。一方、テレビ等の受動的趣味(Freyの研究)は、一時的なリラックスは与えますが、長期的な自己肯定感や時間管理能力を低下させるリスクがあります。
Q.『好奇心』がウェルビーイングを予測する強力な因子であるとする学術的根拠は?
A.好奇心が高い人は、未知の体験に対して『サヴォアリング(味わい)』の技術を使いやすく、ストレス下でも『意味の再構成』を行いやすいからです。多様な趣味を持つことは、老後の役割喪失に対する最強のリスクヘッジとなることがデータで示されています。
