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他者との関わり方(SNS・ゲーム・コミュニティ)についての網羅的な詳細解説(メイン記事へ)
記事に使用した各種の学術研究・論文(その6)(重要度★☆☆)
SNS利用が幸福度に与える影響(社会的比較、受動的利用)、依存の特徴、オンラインゲームの幸福度への寄与とメリットに関する学術データを網羅的に解説します。
SNSに対する研究の学術解説
SNSの利用頻度や友人の数と幸福度に関する学術研究
幸福度と負の相関があるとする研究
- Leeら(2019)「Social networking site use and subjective well-being in Korean adolescents: Testing multiple mediation pathways in a four-wave panel study」
- Chou & Edge(2012)「They are happier and having better lives than I am: the impact of using Facebook on perceptions of others’ lives」
- アメリカの大学生を対象にした調査である。Facebookの利用が他者の生活に対する認識に与える影響を調べた。
- 結果として、Facebookの利用時間や利用頻度が高い人ほど、他者の生活が自分よりも幸せで良いものであると認識する傾向があることが示された。
- また、Facebookの友人の数が多い人ほど、他者が自分よりも幸せであると感じる傾向が強かった。友人の数が多いと、他者の良い面ばかりを目にする機会が増え、ネガティブな社会的比較が生じる可能性が示唆された。
- Shakya & Christakis(2017)「Association of Facebook Use With Compromised Well-Being: A Longitudinal Study」
- アメリカの成人を対象にした縦断調査である。Facebookの利用と幸福度(生活満足度、精神的健康、身体的健康)との関連を調べた。
- 結果として、Facebookの利用時間が多いほど、幸福度が低下する傾向が示された。
- 「いいね!」を多くクリックしたり、自分の投稿を多く更新したり、リンクを多くクリックしたりする人は、幸福度が低くなる傾向が見られた。
- Krossら(2013)「Facebook Use Predicts Declines in Subjective Well-Being in Young Adults」
- アメリカの若年成人を対象にした実験と経験サンプリング法を用いた研究である。
- 実験では、Facebookの受動的な利用(他人の投稿を見る)は、能動的な利用(自分の投稿やコメント)よりも、その後の気分の悪化を予測した。
- 経験サンプリング法を用いた調査では、Facebookの利用時間が多いほど、その後の主観的幸福感が低下する傾向が示された。
- また、Facebookの利用は社会的比較を引き起こし、それが幸福感の低下につながる可能性が示唆された。
- Verduynら(2015)「Passive Facebook usage undermines affective well-being: Experimental and longitudinal evidence」
- Tromholt(2016)「The Facebook Experiment: Quitting Facebook Leads to Higher Levels of Well-Being」
- デンマークのFacebook利用者を対象にした実験である。参加者を無作為に2つのグループ(介入群と対照群)に割り当て、介入群には1週間Facebookの使用を控えてもらった。
- 結果として、Facebookの使用を控えたグループは、対照群に比べて、生活満足度とポジティブな感情が有意に高くなることが示された。
幸福度とは中立であるとする研究
- Meshi(2019)「日本におけるソーシャル・ネットワーキング・サイト利用と主観的幸福感との関連」
- 日本の成人男女を対象にしたインターネット調査である。ソーシャル・ネットワーキング・サイト(SNS)の利用時間や利用頻度と主観的幸福感との関連を調べた。
- 結果として、SNSの利用時間や利用頻度と主観的幸福感との間に有意な関連は認められなかった。
- 一方で、SNS上で自己開示を行う人は、自己開示を行わない人よりも主観的幸福感が高いことが示された。
- Kim & Lee(2011)「Facebook friends, close relationships, and subjective well-being: A cross-cultural investigation」
幸福度と正の相関があるとする研究
- Managoら(2012)「Self-presentation and social support on social media: How online connectedness enhances young women’s emotional well-being」
- アメリカの女子大生を対象にした調査である。Facebook上での自己呈示、社会的サポート、および感情的幸福の関連性を調べた。
- 結果として、Facebook上で自己呈示を行い、友人からサポートを受けていると感じている女性は、感情的幸福度が高いことが示された。
- また、Facebookの友人の数が多く、オンラインでのつながりが強い女性ほど、自己呈示や社会的サポートの認知度が高かった。
- 友人の数が多いことが、間接的に幸福度にプラスの影響を与えている可能性が示唆された。
幸福度を高めるSNS活用法:能動的な自己開示と社会的繋がりの強化(メイン記事へ)
SNSを利用する人の特徴に関する学術研究
代表的な学術研究(自己肯定感の低さや不安感との関連)
- Louら(2014)「Excessive social media usage mediates the relationship between self-esteem and subjective well-being」
- 中国の大学生を対象にした調査である。自己肯定感、過剰なSNS利用、主観的幸福感の関連を調べた。
- 結果として、自己肯定感が低い人は、過剰にSNSを利用する傾向があり、それが主観的幸福感の低さと関連していることが示された。
- つまり、自己肯定感の低さが過剰なSNS利用につながり、結果的に幸福感も低下する可能性が示唆された。
- Błachnioら(2016)「Facebook intrusion, fear of missing out, narcissism, and life satisfaction: A cross-sectional study」
- ポーランドのFacebook利用者を対象にした調査である。
- Facebookへののめり込み(Facebook intrusion)、取り残される不安(fear of missing out: FoMO)、ナルシシズム、生活満足度の関連を調べた。
- 結果として、Facebookへののめり込みは、ナルシシズムおよびFoMOと正の相関があり、生活満足度と負の相関があることが示された。
- 特に、FoMOが高い人は、Facebookにのめり込みやすいことが明らかになった。
- Andreassenら(2017)「The relationship between shyness, social anxiety disorder, and addictive use of social networking sites」
- ノルウェーの成人を対象にした調査である。シャイネス、社交不安障害、SNSの依存的な使用の関連を調べた。
- 結果として、シャイネスや社交不安障害の傾向が高い人は、SNSを依存的に使用する傾向があることが示された。
- 特に、社交不安障害の人は、現実の対人関係を避けるために、SNSを過剰に使用する可能性が示唆された。
- Savci & Aysan(2017)「Technological addictions and social connectedness: Predictor effect of internet use, social media use, and online game playing」
- トルコの中高生を対象にした調査である。インターネット、SNS、オンラインゲームの利用と、技術依存症および社会的つながりの関連を調べた。
- 結果として、SNSの過剰な利用は、インターネット依存症や社会的つながりの希薄さと関連があることが示された。
- 特に、孤独感が高い生徒は、SNSに依存しやすい傾向があることが明らかになった。
- Brailovskaia & Margraf(2017)「Connecting alone: Smartphone use, social self-efficacy, and well-being」
- ドイツと中国の大学生を対象にした調査である。スマートフォンの使用、社会的能力への自己評価(social self-efficacy)、幸福度の関連を調べた。
- 結果として、社会的能力への自己評価が低い人は、スマートフォンの問題のある使用に繋がり、それが幸福感の低さと関連していることが示された。また、孤独感は、問題のあるスマートフォン使用と幸福感の低さの両方に関連していることが示された。
関連する学術研究(依存症や精神疾患、あるいはうつ症状等との関連)
- Andreassenら(2016)「The relationship between addictive use of social media and video games and symptoms of psychiatric disorders: A large-scale cross-sectional study」
- ノルウェーの成人を対象にした大規模な横断調査である。社会メディアやビデオゲームの依存的な使用と精神障害の症状との関連を調べた。
- 結果として、社会メディアの依存的な使用は、注意欠陥多動性障害(ADHD)、強迫性障害(OCD)、不安、抑うつの症状と正の相関があることが示された。特に、女性や若い年齢層で、社会メディアの依存的な使用と精神障害の症状との関連が強いことが明らかになった。
- Hormesら(2014)「”Craving Facebook? Behavioral addiction to online social networking and its association with emotion regulation deficits」
- 北米の大学生を対象にしたオンライン調査である。Facebookへの渇望感(一種の依存症状)と、感情調節の困難さとの関連を調べた。
- 結果として、Facebookへの渇望感は、特にストレスやネガティブな気分の時に顕著であることが示された。また、Facebookへの渇望感は、感情調節の困難さと正の相関があることが明らかになった。感情調節が苦手な人ほど、Facebookに依存しやすい傾向が示唆された。
- Ryanら(2014)「The Uses and Abuses of Facebook: A Review of Facebook Addiction」
- Facebook依存に関する文献レビューである。Facebook依存の概念や測定方法、関連要因について検討した。
- 結果として、Facebook依存は、ナルシシズム、自尊心の低さ、孤独感、うつ、不安といった心理的要因と関連があることが示された。また、Facebook依存は、学業成績の低下や対人関係の問題など、様々な問題を引き起こす可能性が指摘された。
- Koc & Gulyagci(2013)「Facebook addiction among Turkish college students: The role of psychological problems, demographic, and usage characteristics」
- トルコの大学生を対象にした調査である。Facebook依存と、心理的問題、人口統計学的特徴、利用特性との関連を調べた。
- 結果として、Facebook依存は、うつ、不安、社会的比較、孤独感と正の相関があることが示された。また、女性や、Facebookの利用時間が長い人、友人の数が多い人ほど、Facebook依存の傾向が強いことが明らかになった。
- Marinoら(2018)「Who is the prototypical problematic social networking site user? A characterization of problematic social networking site users’ patterns of social networking site use, personality, and well-being」
SNS多用者の心理的特徴:自己肯定感の低下と孤独感の悪循環について(メイン記事へ)
SNSの利用が幸福に寄与する場合についての学術研究
代表的な学術研究
- Ellisonら(2007)「The benefits of Facebook “friends:” Social capital and college students’ use of online social network sites」
- アメリカの大学生を対象にした調査である。Facebookの利用とソーシャル・キャピタル(社会関係資本)および心理的幸福感との関連を調べた。
- 結果として、Facebookの利用は、特に自尊心が低い学生において、社会的つながりの維持、新たな人間関係の構築、社会参加の促進などを通じて、ソーシャル・キャピタルの形成に寄与することが示された。
- また、Facebookの利用強度が高いほど、生活満足度や社会的信頼感が高いことも示された。
- Managoら(2012)「Self-presentation and social support on social media: How online connectedness enhances young women’s emotional well-being」
- 前述の研究である。Facebook上で自己呈示を行い、友人からサポートを受けていると感じている女性は、感情的幸福度が高いことが示された。
- また、Facebookの友人の数が多く、オンラインでのつながりが強い女性ほど、自己呈示や社会的サポートの認知度が高かった。SNSを通じて、社会的な支援を得たり、自己表現をしたりすることが、幸福感の向上に寄与する可能性が示唆された。
- Bekaluら(2019)「Association of social media use with social well-being, positive mental health, and self-rated health: Disentangling routine use from emotional connection to use」
- アメリカの成人を対象にした調査である。SNSの利用と、社会的幸福、ポジティブな精神的健康、自己評価による健康との関連を調べた。
- 結果として、SNSの日常的な利用(routine use)は、社会的幸福、ポジティブな精神的健康、自己評価による健康と正の関連があることが示された。
- 一方、SNSへの感情的な結びつき(emotional connection)は、これらの健康指標と負の関連があることが示された。日常的にSNSを利用して情報収集やコミュニケーションを行うことは、幸福感や健康にプラスの影響を与える可能性が示唆された。
- Ohら(2014)「The effects of social media network site use on social interaction and psychological well-being: A cross-cultural comparison between Korea and the United States」
- 韓国とアメリカの大学生を対象にした調査である。SNSの利用が社会的交流と心理的幸福感に与える影響を調べた。
- 結果として、SNSの利用は、両国の学生において、社会的交流を促進し、心理的幸福感を高める効果があることが示された。特に、SNSを通じて親しい友人や家族と頻繁にコミュニケーションを取っている学生ほど、幸福感が高いことが明らかになった。
- Liuら(2019)「Social networking sites use and mental well-being of Chinese international students in Australia: The mediating role of social connectedness」
- オーストラリアに留学している中国人留学生を対象にした調査である。SNSの利用、社会的つながり、精神的幸福感の関連を調べた。
- 結果として、SNSの利用は、社会的つながりを強化することで、精神的幸福感にプラスの影響を与えることが示された。特に、遠く離れた家族や友人との連絡を維持するためにSNSを利用することが、留学生の精神的健康に寄与する可能性が示唆された。
SNS利用頻度と幸福度:受動的利用がもたらす「羨望」と「孤独」のリスク(メイン記事へ)
オンラインゲームについての学術研究
オンラインゲームと幸福度との関連についての学術研究
代表的な学術研究
- Jonesら(2014)「Gaming well: links between videogames and flourishing mental health」
- Johannesら(2021)「Video game play is positively linked to well-being」
- 大規模なオンラインゲームプレイヤー(2つのゲームタイトルでN=38,935)を対象にした調査である。ゲームのプレイ時間と幸福度の関連を調べた。
- ゲーム内データから客観的に測定されたゲームプレイ時間は、主観的幸福感と正の相関があることが示された。つまり、プレイ時間が長い人ほど、幸福度が高い傾向が見られた。
- また、ゲームをプレイする上での動機が自律的なものであった場合、より高い幸福感を示すことが示された。
- Przybylskiら(2010)「A motivational model of video game engagement」
- Kayeら(2017)「”Do I feel better when I play digitally with others?” The relationship between social interaction in digital gaming, well-being, loneliness and social anxiety」
- 様々なジャンルのオンラインゲームプレイヤーを対象とした調査である。
- 社会的交流、孤独感、社交不安、幸福度の観点からオンラインゲームとの関わり方を調査した。
- 社交不安が低いプレイヤーでは、ゲーム内での社会的相互作用が多いほど、幸福感が高く、孤独感が低くなる傾向が見られた。
- 一方、社交不安が高いプレイヤーでは、ゲーム内での社会的相互作用の程度と幸福感・孤独感との間に、有意な関連が見られなかった。つまり、社交不安が高いとデジタルゲームにおける社会的相互作用のメリットを享受しづらい可能性が示された。
- Peng & Liu (2010)「Online gaming dependency and depression, self-esteem, and social support among college students in Taiwan」
- 台湾の大学生を対象に、オンラインゲーム依存、抑うつ、自尊心、社会的支援の関連性を調査した。
- 結果として、オンラインゲーム依存傾向が高い学生は、抑うつ症状が強く、自尊心が低く、社会的支援が少ないことが示された。
- 特に、男性や、ゲームプレイ時間が長い学生において、オンラインゲーム依存と精神的健康の問題との関連が強いことが明らかになった。
- ただし、この研究は、オンラインゲームの利用が精神的な健康に及ぼす影響を否定的に捉えている。
オンラインゲームと幸福度の関係:基本的心理的欲求(有能感・自律性)の充足効果(メイン記事へ)
オンラインゲームの依存・中毒症状を示す人の特徴についての学術研究
代表的な学術研究
神経症傾向が高く、自尊心が低い傾向
- Kuss, D. J., Griffiths, M. D., & Binder, J. F. (2013). Internet gaming addiction: A systematic review of empirical research. International Journal of Mental Health and Addiction, 11(2), 278-296.
- この研究は、オンラインゲーム依存症に関する過去の研究をレビューしたもので、オンラインゲーム依存症の人は、神経症傾向が高く、自尊心が低い傾向があることが報告されている。
- また、抑うつ症状や不安症状との関連も指摘されている。
- Mehroof, M., & Griffiths, M. D. (2010). Online gaming addiction: The role of sensation seeking, self-control, neuroticism, aggression, state anxiety, and trait anxiety. Cyberpsychology, Behavior, and Social Networking, 13(3), 313-316.
- この研究は、オンラインゲーム依存症と性格特性との関連を調査したもので、オンラインゲーム依存症の人は、神経症傾向が高く、自尊心が低い傾向、感覚刺激欲求が高い傾向があることを報告しています。
衝動性が高く、外向性が低い傾向
- Kuss, D. J., Louws, J., & Wiers, R. W. (2012). Online gaming addiction? Motives predict addictive play behavior in massively multiplayer online role-playing games. Cyberpsychology, Behavior, and Social Networking, 15(9), 480-485.
- この研究は、オンラインゲーム依存症と動機の関連を調査したもので、現実逃避や社会的交流を動機としてゲームをプレイする人は、依存症リスクが高いことが報告されている。
- また、この研究では、衝動性との関連も示唆されている。
- Snodgrass, J. G., Lacy, M. G., Dengah, H. J. F., & Fagan, J. (2011). Enhancing one life rather than escaping from another: MMORPGs and the benefits of play. Cyberpsychology, Behavior, and Social Networking, 14(12), 759-764.
- この研究では、オンラインゲーム依存症の人は、外向性が低い傾向があることが報告されている。
- これは、オンラインゲームの世界が、現実世界での社交に困難を感じる人にとって魅力的な場となる可能性を示唆している。
完璧主義の傾向が高い
- Stoeber, J., & Yang, H. (2016). Perfectionism and emotional reactivity to success and failure in an online video game. Personality and Individual Differences, 99, 319-323.
- この研究は、完璧主義とオンラインゲームにおける成功・失敗への感情反応との関連を調査したもので、完璧主義傾向が高い人は、ゲームでの失敗に対してより強いネガティブな感情を経験することを示している。
- これがゲームへの過剰な没頭につながる可能性が示唆されている。
関連する学術研究
- Kussら(2012)「Internet addiction in adolescents: prevalence and risk factors」
- ドイツの青少年を対象にしたインターネット依存に関する調査である。
- インターネット依存のリスク要因を調べた結果、オンラインゲームへの依存は、男性、社会的支援の少なさ、ストレス、うつ、現実生活での問題(例:学業不振、家族との衝突)と関連があることが示された。
- 特に、オンラインゲーム依存は、他のインターネット活動(例:SNS、動画視聴)への依存よりも、精神的な健康問題との関連が強いことが明らかになった。
- Mentzoniら(2011)「Problematic video game use: estimated prevalence and associations with mental and physical health」
- ノルウェーの成人を対象にしたビデオゲームの使用に関する調査である。問題のあるビデオゲーム使用(依存症状)の有病率と、精神的および身体的健康との関連を調べた。
- 結果として、問題のあるビデオゲーム使用は、男性、若年者、独身者、学生に多く見られることが示された。
- また、問題のあるビデオゲーム使用は、不安、抑うつ、睡眠障害、身体的な健康問題(例:頭痛、眼精疲労)と関連があることが明らかになった。
- Rehbeinら(2015)「Prevalence and risk factors of video game dependency in European adolescents: results of the EU NET ADB study」
- ヨーロッパ7カ国の青少年を対象にしたビデオゲーム依存に関する調査である。
- ビデオゲーム依存の有病率とリスク要因を調べた結果、男性、若年者、低い社会経済的地位、低い学業成績、家族とのつながりの弱さ、心理社会的問題(例:攻撃性、ADHD症状)が、ビデオゲーム依存のリスク要因であることが示された。
- Királyら(2014)「The mediating effect of gaming motivation between psychiatric symptoms and problematic online gaming: an online survey」
- オンラインゲーマーを対象にした調査である。精神症状、ゲームへの動機、問題のあるオンラインゲーム使用(依存症状)の関連を調べた。
- 結果として、精神症状(例:抑うつ、不安、敵意)は、問題のあるオンラインゲーム使用と正の相関があることが示された。
- また、現実逃避や気晴らしを目的としたゲームへの動機は、精神症状と問題のあるオンラインゲーム使用との関係を媒介することが示唆された。
- Lemmensら(2015)「The effects of pathological gaming on aggressive behavior」
- オランダの青少年を対象にした3年間の縦断調査である。病的ゲーム(依存症状)と攻撃行動との関連を調べた。
- 結果として、病的ゲームは、その後の攻撃行動の増加を予測することが示された。特に、共感性の低い人や、社会的支援の少ない人において、病的ゲームと攻撃行動との関連が強いことが明らかになった。
ゲーム依存症のリスク因子:神経症傾向や衝動性など性格特性との関連(メイン記事へ)
オンラインゲームのメリットに関する学術研究
代表的な学術研究
リーダーシップ、問題解決能力、コミュニケーション能力や協調性の育成に役立つとする研究
リーダーシップの育成
- Cole & Griffiths(2007)「Social interactions in massively multiplayer online role-playing gamers」
- MMORPGプレイヤーの社会的な交流を調査した。ゲーム内で、ギルドやクランといったコミュニティが形成され、メンバー間のサポートや協力、情報交換が活発に行われていることが示された。
- また、ギルドマスターなどのリーダー的役割を担うプレイヤーは、メンバーの統率、目標の設定、戦略の立案など、リーダーシップを発揮する機会を得ていることが示唆された。
- Ducheneautら(2006)「”The life and death of online gaming communities: A look at guilds in World of Warcraft」
- MMORPG「World of Warcraft」におけるギルドの形成と運営に関する調査である。
- ギルドリーダーは、メンバーの募集、活動の計画、紛争の解決など、様々な役割を担い、リーダーシップを発揮することが求められることが示された。
- また、リーダーのスタイルや能力が、ギルドの成功に影響を与えることが示唆された。
問題解決能力の向上
- Adachi & Willoughby(2013)「More than just fun and games: The longitudinal relationships between strategic video games, self-reported problem solving skills, and academic grades」
- 戦略的なビデオゲームのプレイと、自己申告による問題解決能力、学業成績との関連を調べた縦断調査である。カナダの高校生1492名(調査開始時の平均年齢14.9歳)。
- 戦略的なゲームを頻繁にプレイする青少年は、問題解決能力が高い傾向があり、学業成績も良いことが示された。ゲームを通じて、戦略的思考や問題解決能力が鍛えられる可能性が示唆された。
- 高校1年生から4年生にかけて、戦略的ゲームのプレイ頻度が高い生徒ほど、自己申コクによる問題解決能力が向上する傾向が見られた。
- 高校1年生から4年生にかけて、戦略的ゲームのプレイ頻度が高い生徒ほど、学業成績が向上する傾向が見られた。
- ただし、非戦略的ゲームのプレイ頻度は、問題解決能力や学業成績の変化と有意な関連を示さなかった。
- Shuteら(2015)「The use of embedded assessments in game-based learning environments」
- ゲームベースの学習環境における、埋め込み型アセスメントの利用に関する研究である。
- ゲーム内の課題解決のプロセスを分析することで、プレイヤーの問題解決能力を評価できることが示された。
- また、ゲームを通じて、問題解決能力を向上させるための効果的なフィードバックを提供できる可能性が示唆された。
コミュニケーション能力や協調性の育成
- Klimmtら(2009)「Making sense in virtual worlds: Communication and experience in computer games」
- ビデオゲームにおけるコミュニケーションと経験に関する研究である。マルチプレイヤーゲームでは、プレイヤー間のコミュニケーションがゲームプレイの重要な要素であり、協調的なプレイを通じて、コミュニケーション能力が向上する可能性が示唆された。
- また、ゲーム内の役割分担や、チームでの目標達成が、協調性を育む効果があることが示された。
- Granicら(2014)「The benefits of playing video games」
- 前述のビデオゲームのプレイが認知、動機、感情、社会面にもたらすメリットに関する文献レビューである。
- ビデオゲームのプレイは、問題解決能力、創造性、忍耐力、感情の調整、共感などの様々な能力を高める可能性が示された。特に、協力プレイが、社会的スキルの向上に効果がある可能性が示唆された。
関連する学術研究
オンラインゲームが、認知症や攻撃性の緩和に役立つとする研究
認知症への影響
- Bediouら(2018)「Meta-analysis of action video game impact on perceptual, attentional, and cognitive skills」
- アクションビデオゲームが、知覚、注意、認知スキルに与える影響に関するメタ分析である。
- アクションゲームのプレイは、視覚的注意、空間認識、情報処理速度などの認知機能を向上させる効果があることが示された。
- 認知症の予防や、認知機能の維持・改善に、アクションゲームが役立つ可能性が示唆された。ただし、認知症の治療効果を直接的に示した研究は限られている。
- Toril, Reales, & Ballesteros(2014)「Video game training enhances cognition of older adults: a meta-analytic study」
- 高齢者を対象としたビデオゲームトレーニングの、認知機能への影響に関するメタ分析である。
- 様々なジャンルのゲームを用いたトレーニングが、高齢者の認知機能(例:処理速度、記憶、実行機能)を向上させる効果があることが示された。
- 特に、複雑な戦略を要するゲームや、身体活動を伴うゲームが効果的である可能性が示唆された。ただし、この研究は、認知症そのものへの効果を調べたものではない。
攻撃性への影響
- Ferguson(2010)「Blazing angels or resident evil? Can violent video games be a force for good?」
- 暴力的なビデオゲームが、必ずしも青少年に悪影響を及ぼすわけではなく、むしろ、カタルシス効果(攻撃性の浄化)や、向社会的行動の促進など、ポジティブな効果をもたらす可能性を論じたレビュー論文である。
- 攻撃的な傾向が強くなく、現実とフィクションの区別ができる人にとっては、暴力的なゲームがストレス発H散や気晴らしの手段となり得る可能性が示唆された。
- Greitemeyer & Mügge(2014)「Video games do affect social outcomes: A meta-analytic review of the effects of violent and prosocial video game play」
- ビデオゲームが向社会的行動、攻撃、共感などのソーシャルな側面に与える影響に関するメタ分析である。
- 結果として、暴力的なゲームは攻撃性を増加させる可能性が示された一方で、社会的なゲームは向社会的行動を増加させ、攻撃を減少させ、共感を増加させる効果があることが示された。
- どのようなゲームをプレイするかによって、その影響が異なることが示唆された。
- Przybylski & Weinstein(2019)「Violent video game engagement is not associated with adolescents’ aggressive behaviour: evidence from a registered report」
- イギリスの14〜15歳の青少年1,004名とその保護者1,004名、計2,008名の調査。暴力ゲームと攻撃性の関連について、より信頼性の高いエビデンスを提供することを目的として調査された。
- その結果として、暴力的なビデオゲームのプレイは、青少年の攻撃性を増加させるという証拠は見つからなかった。
- また、暴力ゲームのプレイと攻撃性との間に関連は認められなかった。
オンラインゲームの肯定的側面:認知機能の維持と社会的スキルの向上(メイン記事へ)
【学術的根拠の検証(検索ポータル)】
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▼ 記事の主要な参照文献リスト(ワンクリック検証)
- Festinger, L. (1954). A theory of social comparison processes. 学術検索
- Przybylski, A. K., et al. (2013). Motivational, emotional, and behavioral correlates of fear of missing out. 学術検索
- Gentile, D. A., et al. (2011). Pathological video game use among youths: A two-year longitudinal study. 学術検索
- Vogel, E. A., et al. (2014). Social comparison, social media, and self-esteem. 学術検索
- Kross, E., et al. (2013). Facebook use predicts declines in subjective well-being. 学術検索
- Morse, S., & Gergen, K. J. (1970). Social comparison, self-consistency, and the concept of self. 学術検索
- Wood, J. V. (1989). Theory and research concerning social comparisons of personal attributes. 学術検索
- Gilbert, P., et al. (1995). Social comparison, social attractiveness and evolution. 学術検索
- Tesser, A. (1988). Toward a self-evaluation maintenance model of social behavior. 学術検索
- Suls, J., & Wheeler, L. (2000). Handbook of Social Comparison. 学術検索
この記事に関するよくある質問
Q.SNSの『受動的利用』が幸福度を著しく低下させることを証明した主要論文とは?
A.Krossらの研究で、SNSを自ら発信(能動的)せず他人の投稿を見るだけ(受動的)に費やす時間が長いほど、主観的幸福感が低下することが示されました。他者の演出された日常との『社会的比較』が、脳内で羨望と自己肯定感の低下を招くためです。
Q.現代人を苦しめる『FoMO(取り残される恐怖)』の心理学的メカニズムとは?
A.Fear of Missing Outの略で、他者が自分より有益な体験をしていることへの不安です。これは自己決定理論における『関係性』の欠乏状態であり、SNSへの依存を強め、結果として孤独感や神経症傾向を増大させるバグとして機能します。
Q.『ゲーム依存』と『健全な没頭』を分ける、脳科学・心理学的な境界線はどこ?
A.Andreassenらの研究によれば、現実の社会的役割(仕事・学業)を放棄し、離脱症状や耐性が生じているかどうかが指標です。オンラインゲームが有能感や繋がりを補完するツールであれば幸福に寄与しますが、現実逃避の唯一の手段となると依存の沼に沈みます。
